-第202回-
ビジョンの描き方(1)
-現在(近い未来)からビジョンを描く-

事業を行う上でビジョンは重要です。ではビジョンはどう描くのでしょうか?
今回は現在(近い未来)から考えるアプローチと、未来から考えるアプローチの2つを紹介します。

近い未来からアプローチをする場合、「1.現状の把握」「2.ありたい姿の明確化」「3.目標の設定」の3つのステップを経ます。

1.現状の把握
「1.現状の把握」ではご自身の強み(内部環境)、世の中の状況や変化(外部環境)を整理します。整理にあたって有効な手法をいくつかご紹介します。

・「3C分析」
世の中を「自身」「競合」「市場」の3つに分けて整理します。自身が行う事業が、競合と比較して勝てるのか?、世の中に求められていることなのか?、ということが客観的に整理できます。
・「SWOT分析」
自身の「強み」「弱み」、外部環境の「機会」「脅威」を整理します。「機会」に対して「強み」を活かした事業を行うなど整理した内容に基づいて事業計画を検討します。
・「PEST分析」
外部環境について「政治」「経済」「社会」「技術」の点から整理をします。整理した内容が自身にとって「機会」なのか「脅威」なのかと「SWOT分析」に落とし込んでいくとより有効です。

2.ありたい姿の明確化
「1.現状の把握」において、ご自身の強み、世の中の状況や変化が整理出来たら、「2.ありたい姿の明確化」をします。ありたい姿は「ご自身の強み」、「世の中の状況や変化」を整理する過程で自然と見えてくることも多いですが、さらに深掘りをする場合は「マインドマップ」などのツールを使うことも有効です。整理ができたら、さらに「will(やりたいこと/ありたい姿)」「can(できること/ご自身の強み)」「must(やらなければならにこと/世の中の状況や変化)」のフレームワークに落とし込むことでビジョン(将来に対する見通しや構想)を描くことができます。ビジョンをメッセージに落とし込む場合は実現したいことを通して社会に貢献することをしっかりと伝えることが重要です。

3.目標の設定
ビジョンは描けましたが、さらに実施するべきことを明確化するため、「3.目標の設定」を行います。2.で整理した「ありたい姿」と1.で整理した「現状の自分」の間にはギャップがあります。ギャップを整理し、ギャップを埋めるための取り組み、そして目標を整理します。目標の例として、「売上」「満足度」「業界ポジション」などが挙げられます。

事業計画・創業計画の検討においても有効な方法ですので、整理したことがないようでしたら一度このアプローチで整理することをお勧めします。

NPO法人中野中小企業診断士会 伊藤敬久(いとうたかひさ)