-第182回-
失敗しない商品開発とは(1)
―柔らか頭の創り方・マーケティング戦略・資金調達を考える―
新商品開発のノウハウ書は沢山見受けますが私は一番のポイントは自分自身にあると考えています。そこでここでは重要な3つのポイントについて考えてみたいと思います。
1)柔らか頭の創り方:皆様は「柔らか頭」とはどんなことを思い浮かべるでしょうか?
機転の利く人、応用力のある人などいろいろな頭の使い方を想像されるかもしれません。
私の言う「柔らか頭」とは他人の言うことによく耳を傾け、世の中のことに興味を持って吸収し、コミュニケーション能力の高い頭のことを考えています。
私が失敗しない商品開発の話をするのになぜ最初に開発のテクニック論をせずにこのような人の問題を取り上げたかというと商品開発で一番大切なことは開発に取り組む人の「気持ち」が一番大切だと考えているからです。
ヒット商品を開発された企業の社長様を訪問して気が付くのは社長様が新商品に対して熱い思いを持っていることとフランクで明るく、人の話をよく聞き、周りには社員だけでなく仲間が多いということです。これはやはり、商品開発にあたって世間の情報や、他人のアドバイスに耳を傾け、自社の技術にとどまらず仲間の企業の助けを借りながら開発を行うため、結果として世の中に受け入れられる商品が出来上がるのだと理解しています。
自分は頭が柔らかいと自信のある方はともかく、自分に自信がない人が大多数ではないかと思いますがこのように自信のない方でも日常のちょっとした訓練でこのような「柔らか頭」を手にいれることができるのです。
ではどのような訓練をすれば「柔らか頭」を手にいれることができるのでしょうか?
実はかしこまって訓練というほどのことではないのですが日常生活でちょっとした行動をしていただければ「柔らか頭」のよい訓練になると思います。そこで一つの例をご紹介しましょう。
皆さん、「捨て目を利かす」という言葉をご存知でしょうか?コトバンクによれば「目に入ること耳に入ることはいつでも注意を払っておく」というということです。例えば自分の興味があるものには注意深くいろいろ考えるものなのですが奥様とショッピングセンターに買い物に出かけたりするときに奥様がブティックに立ち寄った時に自分は通り過ぎないでこの店はどのような女性向けの店かな?とかマネキンが来ている服装や色を見てどんなデザインが今年の流行かな?とか店長の趣味を想像してみるのも結構面白いものです。
また、自分の趣味のお店に立ち寄った時に興味のある商品について自分の立場のみで考えるのではなく関わったいろいろな人の立場で考え、商品の改善点を見つけてみるのも「柔らか頭」の体操になります。
このような習慣を身に着けることによって自己中心の思考からより広い思考を身に着けることができ商品開発に必要な「柔らか頭」を自然に身に着けることができるのです。
次回は「柔らか頭」をベースとしたマーケティングと補助金についてのお話をいたしましょう。
NPO法人中野中小企業診断士会 宮地直孝