-第179回-
コンテンツを作成するうえで大切な2つのポイント(2)
-持続的に競争優位性を発揮できるコンテンツへの第一歩-

前回は、コンテンツを作成するうえで大切なポイントのひとつめは『独自性』とお伝えしました。独自の資源(経験・こだわり)を活かし、顧客に対して独自の価値を提供する個性化戦略を目指すことが大切なのです。『独自性』はコンテンツの内面のことですが、内面をターゲット顧客に認知してもらうのは簡単ではありません。興味を持ってもらい、触れてもらう必要があります。

そこで、コンテンツを作成するうえで大切なもうひとつのポイントは『箔』です。内面を認知してもらいやすくするために、ターゲット顧客との接点として外見の『箔』を付けるのです。箔というと、メッキがはがれるみたいなマイナスのイメージを持つかもしれませんが、「箔が付く」とは広辞苑によると、良い値打ちが付く、貫禄が付くという意味です。箔を付けて、良い値打ち、貫禄を付けることで、短い言葉でターゲット顧客に興味を持ってもらうきっかけになると考えています。いろんなコンテンツが溢れる時代、長々と説明するのを待ってくれる人はいないと考えたほうが良いでしょう。短い言葉で価値を伝えるための『箔』が重要なのです。私の場合、小学校や保育園等で影絵人形劇の公演を行っていますが、「こんなイベントに出演した」と、認知度があまり高くない実績をいくつ並べても、よく伝わらないでしょう。そこで、「日本最大の人形劇の祭典“いいだ人形劇フェスタ”での公演」「文化庁“芸術家の派遣事業”の芸術家としての小学校公演」という実績を伝えるようにしています。小さなイベントの実績をいくつも伝えるより、「日本最大の~」と伝えるほうが興味を持ってもらいやすいでしょう。「文化庁」と伝えるほうが興味を持ってもらいやすくなることに加え、信用度も高まるでしょう。内面の『独自性』だけではなく、外見の『箔』を付けることも考えて、私は行動してきました。

どんなコンテンツでも同じことが言えるでしょう。どんなに『独自性』があったとしても、ターゲット顧客に興味を持ってもらえず、触れてもらう機会がないと、もったいないです。「経験」を積んで『独自性』を確立することはもちろん大切ですが、勇気を持って、大きな一歩を踏み出して、短い言葉で価値を伝えられる『箔』を付けることも大切なのです。コンテンツを作成するうえで大切なポイントのふたつめは『箔』です。

『独自性』を経験とこだわりから磨き、ターゲット顧客に興味を持ってもらい、触れてもらうきっかけになる『箔』を付けることがコンテンツを作成するうえで大切なことだと考えています。持続的に競争優位性を発揮できるコンテンツは一朝一夕には生まれません。試行錯誤が必要です。ぜひ、素晴らしいコンテンツを築き上げることにつなげてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 梅津勝明