-第178回-
コンテンツを作成するうえで大切な2つのポイント(1)
-持続的に競争優位性を発揮できるコンテンツへの第一歩-

起業家や、これから起業しようと検討している人たちは「どのようなコンテンツを作ればよいのかな」と考えている方が多いことでしょう。コンテンツ促進法(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律)によると、「コンテンツとは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を提供するためのプログラムであって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するもの」と記載があります。このように、あらゆるものがコンテンツになり得ます。だからといって、ただ単にコンテンツを作成すればよいというものではありません。価値がターゲット顧客に伝わるように、コンテンツを作成することが大切です。私自身、影絵人形劇の公演を小学校や保育園等で行っています。影絵人形劇もコンテンツのひとつです。私の経験をもとに、コンテンツを作成するうえで大切な2つのポイントをお伝えします。

ひとつめは『独自性』です。「他と異なり、特有な独自性を見つけるのは難しい」と感じている方は少なくないでしょう。しかし、難しく考える必要はありません。『独自性』は、「経験」と「こだわり」から生まれると私は考えています。同じ学校で学んでも、同じ職場で働いても、同じ地域で育っても、「経験」が全く同じ人なんて1人もいません。同じ家庭で育った家族であっても、「経験」は異なります。感じ方や考え方ももちろん異なります。「こだわり」も人それぞれ異なるのです。例えば、同じラーメンを作るとしても、麺、スープ、具材、器、食べ方、店内の雰囲気などの好みは異なるので、こだわるところは多々あります。「こだわり」をとことん追求し続けるとオリジナル(独自の価値)になるものです。私の場合、影絵劇団に10数年所属して、人形師を担当していました。日本全国の500校以上の小学校で、10万人以上の小学生の前で公演した経験があります。その経験の中で感じた問題を解消しようと考えて、ひとりで影絵人形劇の公演をする仕組みを考え、演目を考え、演出を考えました。ここに私のこだわりがあります。

どんな業種でも、競合他社と常に比較する差別化戦略は、資源の乏しい中小企業や個人事業主にとっては厳しいものです。競合他社や常識に囚われ過ぎず、独自の資源(経験・こだわり)を活かし、顧客に対して独自の価値を提供する個性化戦略を目指すことが大切だと考えています。コンテンツを作成するうえで大切なポイントのひとつめは『独自性』です。

次回は、コンテンツを作成するうえで大切なもうひとつのポイントについてお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 梅津勝明