-第38回-
採用活動の枠組みと採用基準作成のヒント(1)
~採用活動の枠組み~

 中小企業の課題に人材確保がありますが、採用できても働き始めたら期待と異なったというお悩みを伺うことがあります。そのような場合、どのような人材をどう採用していくのかというプロセスが不明確なことが多いようです。

みなさんの会社では、どのようにして採用を行っていますか? 今回は、採用活動の枠組みについてご紹介します。

【ステップ1】:採用方針の検討
(1)景気の動向、雇用形態の動向、採用動向など、毎年、大手の新聞社や就職情報会社が調査を行って発表している情報等を参考にして、労働市場について把握します。
(2)採用責任者を決めます。通常は人事部門の責任者か担うことが多いです。また、必要ならば採用を予定している部門からも、採用担当者、面接担当者を選出し、役割分担を明確にしていきます。
(3)経営戦略・事業戦略を踏まえ、採用活動の方向付けを行い、それを方針としてまとめていきます。

【ステップ2】:採用の準備
(1)採用方針に基づき、要員計画や、採用活動に必要な予算計画を作成します。
(2)「求める人材像」を明確にします。
(3)適性、能力、意欲などの面から、採用基準を具体的に検討します。採用基準とは、応募者は自社が求める人材像に合致しているかどうかを判断するモノサシにあたります。

【ステップ3】:募集活動
(1)採用のための広報活動です。具体的には、入社案内の作成、就職情報サイトへの登録、自社のWebサイトで採用情報を発信していきます。
(2)企業説明会を実施します。合同説明会へ出展するか、または自社単独で会社説明会を開催します。後者の場合は、開催目的や日時をよく検討し、プログラムの内容を決めます。若手社員の体験談など、組み込むと学生にとって身近に感じられることでしょう。
(3)説明会後のフォローが必要です。例えば、参加してくれた学生にサンクスレターなどを送付します。

【ステップ4】:選考活動
(1)選考方法を決めます。経歴書やエントリーシートなどの書類選考や面接が一般的です。必要に応じて、筆記試験や適性テストを行います。
(2)面接は、誰が、どのような目的で、何回、実施するのかを決めます。
(3)選考過程で採用者を決定したら、できれば1週間以内に内定通知を出します

【ステップ5】:内定者フォロー
(1)内定者から辞退がでないよう、内定者とのよりよい関係構築を目的としてフォローを行います。
(2)内定式、必要に応じて内定者懇談会、社内行事への参加呼びかけ、社内レターの送付、会社見学など自社に合わせて行っていきましょう。
(3)入社前に、社会人としてのビジネスマナーなど、通信教育などを活用して、社員教育を行うことも可能です。

 次回は、イメージが湧かずに相談いただくことが多い採用基準づくりに絞ってお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 鴨志田栄子

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