-第27回-
商店街活性化と創業について(2)
~経営革新と創業~
よく商店街の各店舗について、買いたい物がないと言われるがなぜなのか。
商店街の各店舗が、新商品やサービスを取り入れたり開発して、時代のニーズを取り入れれば、お客は商店街に多く足を運ぶだろう。そのことが売上を伸ばし設備投資や人の雇用につながれば商店街は活性化する。ただし、今までの事業の方法を変えるのは保守的な経営者が多い商店街の事業者には勇気のいることである。別の意味で考えれば、現在の多くの事業者が、経営革新を行ってこなかったことが衰退の一番の原因であるのかもしれない。元々小規模な事業者であったかつてのダイエーやイトーヨーカ堂、イオンなどは経営革新を行ってきたことで、大手チェーン店として発展した。
商店街の事業主の多くは、土地と建物を所有しており、事業で多少の損失を出しても経営が継続できる。見た目でもそのような事業主が商店街の中に多くいるが、現経営者が引退し、世帯交代を行い子息などが新しい事業を導入することで大きく変わることができる。
第二創業補助金では、事業承継を契機に既存事業を廃止し、新分野に挑戦する事業者に対して、人件費や設備費等(廃業登記や法手続費用、在庫処分費等廃業コストを含む)に要する費用の一部を支援している。何代も続いた老舗でも時代とともに取扱商品やサービスを変えることで新陳代謝を図り事業継続が可能となり何代も続いた屋号を残すことができる。
日本の創業率は5%未満で欧米に比べるとかなり低い。戦後間もないころの駅前などの商業集積地では、働きたくとも就業先のない職を失った人たちが、あまり元手のかからない商業や飲食業を盛んに創業した。ある意味、商店街街区はインキュベーションであったが、戦後という特殊な時代であり、その後の高度成長という追い風が商店街を発展させたが、今はその風は吹いていない。しかし商店街での創業を目指す創業予備群は多くいる。
平成25年度から、産業競争力強化法に基づき、自治体が創業者の経営、財務、人材育成、販路開拓等の知識習得を目的として継続的に行う創業支援の取組を「特定創業支援事業」と位置づけ、本支援を受けた創業者には、登録免許税の軽減措置、信用保証枠の拡大等の支援策が適用されている。
商店会と自治体は連携をし、このような動きを機会として捉え、子息のいる事業者には新事業への転換、後継者のいない事業者に創業者へ賃貸を働きかけ、引退する経営者には「早期後継・引退貢献制度」を創設し、今までの貢献に対して表彰を行ってはいかがか。
前出のJ・ジェイコブスは同書の第12章「衰退の取引」の中で、都市経済を不活性化する一つの要因として、長期化した間断のない貧困地帯への補助金を挙げている。ただ補助金を出すだけではない政策が「まちのインフラ」の活性化になるのではないか。
NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木隆男
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