-第154回-
テレワーク移行前に考えておくべき会社のKPI
-テレワークでも公正な人事評価をするために-
「コロナ禍でテレワークを導入したいけれど、社員をどう管理すれば良いか分からない」
そんなことに悩んで、未だにテレワークに踏み切れないケースがあります。
このコラムを読まれている皆さんは如何でしょうか?
もし、思い当たることがあればこのコラムがヒントになるかも知れません。
具体的に取り組みたい方は、「どこでも出張相談」や「窓口相談」を活用して専門家に相談してみてください。
今月は、テレワークを行うと社員の評価ができないと悩んでいる方に向けて、事例を踏まえて2つのポイントをお伝えしていきます。
タイトルにある「KPI」という言葉は、読み進めて頂いている方は既にご存知と思いますが、簡単に確認しておきましょう。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」という意味になります。つまり、目標を達成する上で、その達成度合いを計測して確認するための定量的な指標を指します。
KPIの設定について、手法論を述べると長くなってしまいますので、要点を簡潔にお伝えすると、『業績が上がる行動が明確になっているか』ということに尽きます。日頃から、事業計画を策定し、その成果をモニタリングして検証しているとスムーズに進められます。
さて、冒頭の悩みに戻りましょう。
「社員をどう管理すれば良いか分からない」ということ自体を見直していく必要があるかも知れません。
自社における「管理」の定義はなんでしょうか。
そもそも、テレワーク以前から本当に社員を管理できていたのでしょうか。
「テレワークになって仕事の効率が格段に上がった」という若手の言葉を疎かにしないようにしましょう。
(事例)テレワーク導入に伴うKPIの設定で社員間の風通しが良くなったA社
A社は社員数15名のサービス業です。コロナ禍で、テレワークの導入を検討しましたが、経理担当の事務スタッフが必ず出社しなければならないなど、テレワークで働ける人とテレワークが出来ない人がいるということで、社員の反発が大きくなりました。更に、管理職者からもテレワークでは部下の評価ができないという相談が上がってきて、テレワークに否定的なムードが漂い始めました。そこで社長は、KPIを設定することでテレワークに移行しても公正に評価される体制を検討することにしたのです。
A社の取り組み結果は次回にお伝えしていきますが、大切なポイントの一つ目は『テレワークを導入すると決める』ことです。
従来と異なる動きとなるので、否定的な意見が出てくるのは当然ですし、社員の不平不満を乗りこえて業績を上げていくためには社長の揺るぎない姿勢が求められます。
決めた後で、『どうすれば実現できるか』という姿勢で取り組んでいくことで、テレワーク導入に向けた活動が進展していくのです。
「テレワークを導入する目的」を明確にし、「トップ自らが実現を決意」するところからスタートしてください。
NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木佳文
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