-第153回-
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?(2)
-事業企画こそDXの要-
前回は、DXとは何かをお伝えするとともに、なぜ、DXに中小企業も取り組む必要があるのかについてお話しました。そして、DXの本質は事業を変革することであり、DXビジネスモデルのコンセプトの構想企画が大事であることに言及しました。
今回は、構想企画をどのように行うかについて、以下に例をお示しし、どのような業態でもDXを行うことが可能ではないかということをお伝えできればと思います。
(例)そば屋
東京都・千代田区で、うどん屋を営む「Aそば」は、Bさんが20年前に脱サラをしてはじめた店です。そば打ちの腕を活かして、なかなかおいしいそば屋として営業を続けてきました。オフィス街が近く、お昼になると店の前に長い行列ができます。ところが最近、いくつかの問題が浮上してきました。外国人スタッフにフロア係を務めていただいていますが、言葉の問題から注文の受け取りミスや、会計ミスが多発してお客様からのクレームが増えています。さらに、近隣に低価格チェーン店の出店が相次いでいて、お客様がそちらに流れていっているようなのです。Bさんは、ランチタイムのお客様の取りこぼしを無くしたいと考えています。さてDXをどのように活かしたら良いでしょうか?
上記に対してはさまざまに方法があると思います。
• 食券販売機を導入する
• 電子マネーを導入する
• スタッフにタブレットをもたせて注文をとり会計計算もやらせる
などです。これは、どちらかというとITを利用した業務改善といえます。
一方、
• お客様がタブレットを使って注文する
• スマホアプリを利用して、出前専門店にしてしまう
上との違いは、何でしょう。中抜きが生じているということなのです。タブレットを使用し顧客が注文することによりフロア係は必要なくなる。出前専門店も同様で、この蕎麦屋は自身の一番の強みであるおいしいそばを顧客へ提供するということに専念できるようになるわけです。
つまり、DXとは顧客とのデジタル直結で、顧客に新しい顧客体験を提供するとともに、なにかが中抜きされることなのです。Amazonも同じような仕組みであることを考えていただくとわかりやすいと思います。
このように考えると、どのような業態でもDXに取り組み事業を変革することができるのではないでしょうか。
NPO法人中野中小企業診断士会 堀川 一