-第148回-
コロナ禍における小さなお店の販売促進
-廃業するか迷っている店主のための3つのヒント-

「もうお店を閉めようか迷っているんです」
コロナ禍の状況下、こんな相談を受けることが増えました。

このコラムを読まれている皆さんは如何でしょうか?
「国の体制が悪い」「中野区の支援が不足している」「顧客に裏切られた」そんな風に感じていませんか?
もし、思い当たることがあればこのコラムがヒントになるかも知れません。

もし、経営に行き詰っている方は、「どこでも出張相談」や「窓口相談」を活用して専門家に相談することをお勧めします。目の前に大きな問題があると、どんなに優秀な方でも視野が狭くなりがちです。第三者の視点と専門家の知見が、決断の後押しになるでしょう。

コロナ禍において、小さなお店(特に飲食店)は大きな打撃を受けています。
一方で、小さな飲食店でも売上を維持しているだけでなく、むしろ売上を伸ばしているお店があります。

厳しい状況でも、それをチャンスととらえて経営力を高めていくか、
国や自治体の支援策に依存していくか、
いずれも経営者自身の選択です。一律に良い悪いの議論をするものではありません。

今月のコラムでは、廃業するか悩んでいる方に向けて、3つのお店の事例から考え方のヒントをお伝えしていきます。

(事例1)先行きが見えず廃業を決めたA店
A店は、ご主人と奥様で切り盛りをするパスタ専門店です。持ち家を店舗にしているので家賃負担が無く、それなりに常連客もついていました。しかし、コロナ禍で状況が一変、ぱったりと客足が途絶えました。自治体の要請にも従い、宅配メニューを充実させるなどしながら営業を続けていましたが、戻らない客足に気持ちが沈んできました。事業改善計画を模索してきましたが、パスタ店は「食を通じて多くの人を幸せにしたい」という思いを実現するための手段であり、コロナ禍が落ち着くまでは充電期間に充てることとして廃業を決意しました。

(ヒント1)事業を始めた目的に立ち返る
A店のように「廃業する」のも重要な選択肢の一つです。A店の場合には、持ち家だったこともありスムーズに動けましたが、廃業するにもお金と手間暇が掛かります。いつ収束するか先の見えない状況下なので、不安や資金繰りと戦いながら神経をすり減らすよりも、次の挑戦に向けた準備期間に充てるという選択もあるということです。

個々のお店で抱えている問題点やお悩みの背景は全て違いますので、ステレオタイプにこれが正解というものはありません。あくまで参考情報として捉えていただければと思います。

大切なことは、自分だけで何とかしようと思い詰めないことです。身近な人でも、専門家でも、話を聴いて貰いながら考えを整理する時間を持つことをお勧めします。身近な人ばかりだと建設的な話になりにくいこともありますので、専門家派遣などをご活用いただくと良いかもしれません。

次回は、残り2つのヒントをお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木佳文