-第130回-
スピーディに事業を軌道に乗せるポイント(1)
-多くの創業者が知らないこと-
私が創業のご支援を実施する中で、相談者の方から数多く寄せられる質問の中に
「事業をいち早く軌道に乗せる為には何をすれば良いのでしょうか?」
というものがあります。
私自身が創業経験者という事もあり、相談者の方がこの質問をしたくなる気持ちが痛いほどわかります。
ご存知の通り、会社経営は時間との闘いです。会社員時代と異なり固定給が存在しませんので、一刻も早く事業を収益化する事が求められます。
事業が軌道に乗らず、徐々に資金が減っていき、いつしか底をついてしまう・・・
誰もが考えたくない展開です。
そのような背景があり、冒頭のような質問に繋がるのだと思います。
皆様が同じ質問をされた際、どのように回答されますか?
そもそもそのような魔法はあるのでしょうか。
私が今回お伝えしたい事は、事業をスピーディに軌道に乗せる方法は
「存在する」
という事です。では何をすれば良いのでしょうか?答えはただ1つ
企業(事業)の「名札」をつくる
事です。
名札とは、例えば私が皆様の事業(仮にAとします)に関わる人(お客様、取引先、支援者など)10名に対して
「Aといえば何ですか?」
という非常に曖昧な質問をした際、「10人中5名以上が同じ内容を回答する状態」。
それが「名札がある」状態という事になります。
名札をある事によるメリットを2つ挙げます。
① 口コミ効果により収益が改善される
最も効果的な集客は口コミです。現在はSNSを始め口コミを拡げる手段が整い、口コミの重要性がより高まっています。名札がある企業は明確なキーワードを有している事から、口コミを拡げやすい効果があります。逆に名札が無い場合、口コミを拡げる際のキーワードが思い浮かばず、効果的な口コミが実施されにくくなります。
② 経営の意思決定がスピードアップする
名札ができることで、経営者が様々な意思決定を実施する際に迷いが無くなります。
各種宣伝類を作成する際はもちろん、経営者自身のスキルアップの際に何を学ぶか、
に至るまで、自社の名札を基準に判断する事ができます。逆に名札が無い場合、自身
の中で優先順位が付ける事ができず、無駄な時間が掛かってしまう傾向があります。
これはご自身が日常の様々な選択をされる際の事を思い出していただけると、実感されると思います。
「好きな食べ物」「好きな映画」「行きつけのお店」「毎週欠かさず見ているTV番組」など、我々は無意識ではありますが、様々な意識決定を自分の中に潜在的に植え付けられている名札を元に決定しています。
是非自身の企業(事業)の名札は何か?名札を作る為に何をするべきか?考えてみましょう。
次回は名札を作成したことにより、業績を大きく伸ばした企業の事例をお伝えします。
NPO法人中野中小企業診断士会 志倉康之