-第127回-
ビジネスモデルはメリハリが大事!「損して得取る」利益の設計のしかた(2)
-あえて儲けないお客や商品をつくる-

前回は「顧客のメリハリ」「商品のメリハリ」について述べましたが、今回は「時間軸のメリハリ」について取り上げます。「時間軸のメリハリ」は「顧客のメリハリ」「商品のメリハリ」と併用されることも多いです。

1.「いつ儲ける?」時間軸のメリハリ
「一度にたくさん儲ける」のではなく、「分散して長く儲ける」「当面は損をして末永く儲ける」という考え方です。

・顧客との関係性を築いて長期的に儲ける(小売・サービス全般)
・顧客を囲い込み長期的に儲ける(ソフトウェア、タバコなどの嗜好品)
・本体ではなく後で追加アプリで儲ける(グリー、LINE)
※商品のメリハリに時間軸のメリハリを加えたものです。
・顧客の成長に合わせてランクアップさせる(中学受験指導から高校・大学受験指導への誘導、エントリーカーからプレミアムカーへ、ソフトやスポーツ用品の初心者用から上級者用へのランクアップ)
※商品・顧客のメリハリに時間軸のメリハリを加えたものです。
・コンテンツではなく後で広告で儲ける(メディア全般、YouTube)
※顧客のメリハリに時間軸のメリハリを加えたものです。
・本体ではなく後で消耗品で儲ける(プリンター、バリスタマシン)
※商品のメリハリに時間軸のメリハリを加えたものです。

2.メリハリを付ける際の着眼点

このように儲ける顧客、対象、時間にメリハリをつけることで、より大きな利益を獲得することが可能となります。自社の商品やサービスが次のような場合はメリハリをつけることが可能です。

<顧客のメリハリ>
・年齢層・嗜好・ニーズ・技量などが異なる複数の顧客層が存在する。

<商品のメリハリ>
・商品・サービスのカテゴリーが複数ありセットで使われることが多い(ハードとソフト、本体とメンテナンスなど)。
・顧客にとって魅力ある商品・サービスがある。この場合、目玉商品として利用する。

<時間軸のメリハリ>
・特定の顧客との関係が短期間ではなく長期にわたる可能性がある。
・顧客にとってスイッチングコスト(他社に切り替える手間や心理的抵抗)が高いなどのり理由で囲い込みが可能である。

ビジネスモデルのメリハリは規模や業種を問わず可能です。是非、検討してみてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 三枝 元