-第124回-
事業アイデアの作り方(2)
-顧客ニーズに着目したアイデアの発見方法-

前回は、顧客視点で考えることで顧客ニーズを掘り起こし、解決すべき問題を定義するプロセスを紹介しました。今回はこの定義された問題を解決するためのアイデア発見方法について紹介します。

1.顧客ニーズにおける問題定義と解決案の検討
顧客ニーズを特定したら、そのニーズを満たすための障壁となっている事象=問題を解決するためのアイデアを考えます。
ここで考えられたアイデアが新しい事業の種となります。
アイデアを考える時は、一人で考えるのではなく複数人で『実現性や各種制約を考慮することなく自由に考えて沢山のアイデアを出す』いわゆるブレインストーミングをすることが良いアイデアを生み出すコツとなります。

前回同様カップラーメンの例で考えてみましょう。
「どんぶりや箸が無い状態でも美味しいラーメンを提供するにはどうすれば良いか?」を解決するために、「どんぶりのような麺を入れるものが無い」を問題点として定義します。すると、解決策として、「持ち運び可能な食器をつくる」、「食器が貸してもらえる場所を提供する」などのアイデアが出てくるのではないでしょうか。また、問題点を「乾燥した状態では麺が食べられない」と定義すると、「お湯をかけなくても食べられるラーメンを作る」などのアイデアが出てくるかもしれません。

このように問題定義次第で解決策のアイデアも変わります。良いアイデアが出なければ問題定義を見直すことで新たなアイデアが発見できることもあります。アイデアは質にこだわることなく量を多く出した方が結果的に良いアイデアにつながることが多いと言われています。

2.アイデア発見のためのツール
ブレインストーミングでアイデアを考える際によく使われるのが、「オズボーンのチェックリスト」です。このリストから発想のヒントをもらい、新しいアイデアを生み出すことができます。
「オズボーンのチェックリスト」には、以下項目が含まれています。
①転用:他の用途での利用や改善しての新たな用途は?
②応用:他からのアイデア流用ができないか?
③変更:形や用途を変えられないか?
④拡大:大きくしてみては?
⑤縮小:小さくしてみては?
⑥代用:他のもので代替できないか?
⑦置換:順番や配置を変えられないか?
⑧逆転:順番や方向を反対にしてみては?
⑨結合:組み合わせての新しい用途は?

カップラーメンの例に戻ると、
逆転のアイデア:工場で大量生産するために麺をカップにどうやって入れるかが問題となった際、麺をカップに入れるのではなく、カップを麺にかぶせるというアイデアで対応。
応用のアイデア:密閉するための蓋のアイデアを、機内食で提供されたナッツの容器を流用することで対応。
など、カップラーメンにはアイデア発見の事例がたくさん含まれています。

良い事業アイデアを生み出すためには、「失敗を恐れずたくさんチャレンジすること」が重要です。常に新しいアイデアを探し続けることを習慣としてみてはいかがでしょうか。

参考文献:
安藤百福クロニクル https://www.nissin.com/jp/about/chronicle/
浜本哲治著 「史上最高の経営者 安藤百福 日清カップヌードル開発秘話」(ゴマブックス)
A・オズボーン「創造力を活かす アイデアを得る38の方法」創元社

NPO法人中野中小企業診断士会  田村 亘