-第97回-
既存社員を戦力化するポイント
-社員との意思疎通強化が鍵-
ある社長さんは社員が中々育たないと嘆いています。
社員にはいろいろと教えてあげているつもりとのことでした。
この社長さんに限らず社員の育成は経営者の永遠の悩みです。
そこで既存の社員の戦力化について2回に分けて考えてみます。
今回は前半です。
少し前に、「成果にコミットする」という謳い文句で痩身目的の個室ジムが流行りました。
痩身ジムではトレーナが参加者にトレーニングをやらせます。
参加者は喜んで自分から厳しいトレーニングをしています。
会社では社長が社員に仕事をやらせます。
会社でも既存社員が喜んで厳しい業務を遂行してくれたら、良いのにと思いませんか。
しかも痩身ジムではお客さんがお金を払ってまで参加しています。
経営者である皆さんが社員に給料を払っているのとは正反対ですね。
どこが違うのでしょうか。
この質問に正解があるわけではありませんので、考え方は色々あるでしょう。
ここでは、トレーナと参加者の関係性に注目してみます。
両者の関係を考えてみると、主体性がお客さんにあり、トレーナは参加者を支援する立場にいることが分かります。
では、どのようにしてこの「支援する」という立ち位置を作れているのでしょうか。
私はこのプログラムに参加したわけではないので、想像してみます。
・ 意思疎通
個室という閉じられた空間で意思疎通を緊密に行うことができ、お互いの考え方を知る機会があります。
会社では面談を行う方法があります。
機会を改めて、普段の業務を離れ、社員の将来のことや、キャリアの方向性、本人の業務上での希望などを聞くと良いでしょう。
上司としてではなく、人生の先輩として、どうやったら社員の希望が実現するか相談にのります。
将来の見通しが甘い社員に対しては、自覚を促しましょう。
若い時にはそれほどお金がなくても困りませんが、結婚して家族ができ、子供が大きくなると纏まった額が必要になります。
面談が大袈裟だと思う場合には、残業代が出る飲み会をやっている会社もあります。
今回は、痩身ジムと会社の違いから、社員との意思疎通について考えてみました。
後半は意思疎通以外の方法について考えてみます。
NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一