-第94回-
知らなくては損する補助金・助成金活用(2)
-気軽に申請できる持続化補助金-

前回は、皆さんの事業に合う補助金・助成金の情報を入手する方法をおつたえしました。何か興味がわいた補助金・助成金はありましたか?

今回は、手軽に申し込める小規模事業者持続化補助金をご紹介したいと思います。現在ご説明する制度は変更の可能性があることは注意が必要ですので、あくまでも補助金の例としてとらえてください。

小規模事業者持続化補助金は、経営計画に従って実施する「販路開拓」等の取り組みに対して、50万円を上限に補助金(補助率2/3)が出る制度です。補助金が出るだけでなく、計画を作成する際や、販路開拓を実際に行う際に、商工会議所の指導や助言を受けられることもメリットの1つでしょう。
販路開拓はどの企業にも当てはまるとおもいますので、小規模事業者であれば申請が可能です。

対象者は小規模事業者である商工事業者(個人事業主含む)となっていて、製造業の場合、常時使用する従業員の数が20人以下、卸売業、小売業、サービス業は常時使用する従業員の数が5人以下の事業者(ただし、宿泊業・娯楽業は20人以下)です。

補助金や助成金の注意点としては、商工会、商工会議所との連携が必須の条件となりますので、早めの事前相談を行いましょう。
また、補助金として採択された後、すぐにお金が振り込まれるわけではありません。補助対象事業を行い、経費を支払った後に、適切な書類がそろえて審査が完了した後で初めて補助金が振り込まれます。そのため、事前に補助金の対象経費の運転資金を準備する必要があります。補助金は後払いと覚えておかれるとよいでしょう。

また、申請対象期間内に使用した費用のみが対象となります。例えば、申請対象期間が4月~11月の場合は、開始前の3月や終了後の12月に使用した費用は対象外となりますので、使用する時期には注意が必要です。対象外の時期に使用すると、せっかく使用した費用が補助金の対象外となる場合があります。

事例)
A店は、補助金を利用して、コーヒー豆の焙煎機を購入しました。自家焙煎コーヒー店としての宣伝効果、他店との差別化を実現したいと考えたこととともに、自家焙煎することでコーヒー豆の原価を下げながらも品質向上とコーヒー豆の販売による売上増などにより収益性の向上を図ろうと考えました。また、 店内が全席禁煙のため、店舗前のスペースにオーニングテント、雨風よけカーテンと野外照明を取付け、喫煙可能なテラス席を新設する費用も一部補助金で賄うことで、喫煙者へのサービス向上による売上の増加を目指しました。実際に、自家焙煎により、コーヒー豆の仕入原価が50%下がるとともに、コーヒーの種類も2〜3 種類増やし売上増加を達成できました。

金額的には少額ですが、補助金・助成金の一例としてお伝えいたしました。補助金や助成金を活用して自身の思う事業に近づけてみましょう。国や地方公共団体は頑張る人の味方です。

NPO法人中野中小企業診断士会 堀川 一