-第88回-
お金を掛けずに店舗の魅力を引き出すちょっとした工夫(2)
-お店の魅力をお客様に知って貰うために-
前回は、自店の魅力を見つけて高めていくためのきっかけづくりについてお伝えしました。
お客様にはあなたの店を選ぶ理由があり、それを知って強化していくことが大切ということです。
「やってみたけれどお客は増えないよ」という方がいるかも知れません。
そうです、これだけでは集客に繋げるためにはパワーが不足しているのです。
あるお店の前で通行客にアンケートを取ったところ、7割が「そのお店の存在を知らない」と回答しました。いくら魅力のあるお店でも、知って貰わなければ集客に繋がらないのです。
では、知って貰うためにどんな工夫をすれば良いでしょうか?
手段の一つとして有効なのは、9月のコラムにも取り上げられた『プレスリリース』です。作成の手間だけで殆どコストが掛からないので、私も状況に応じて良くお店にお勧めする方法の一つです。
(事例)メディアを活用して販売促進に繋げたA店
A店は、和菓子の製造販売を行なっている、従業員3名のお店です。話題作りに、振り込め詐欺防止のメッセージ入りの商品を作り、地域紙の記者に話をしたところ記事に取り上げられ、何と警察署から大量注文が入りました。記事を見て新規の来店客も増え、リピーターにもなってくれています。
採用されるまでに時間が掛かるなど効果が実感できるまでは根気が必要ですが、プレスリリースを作成する過程でお店の強みを再認識できるのでお勧めです。
もう一つは紙に商品名と価格、またはキャッチコピーや説明文、イラストだけを手描きした立て札や貼紙、いわゆるPOPです。効果的なPOPの作り方にはここでは触れませんが、お店のこだわりや商品の魅力を伝える強力なツールです。
(事例)全ての商品に魅力的なPOPを付け遠方からもファンが来るB店
B店は、団地内商店街に出店している家族経営の酒店です。最寄駅からバスで20分かかり、配達も一切受け付けていません。しかし、当店のこだわりを知っているお客様が口コミで増え、遠方から直接買いにくるお客様が途切れません。棚にある商品の全てにPOPが付けられており、特徴が良く分かるだけなく、店員に相談してもすぐにお勧めのお酒が教えて貰えることもあってリピーターが増えています。
更に、商店街など地域の活動に参画するのも重要です。商店会会費を惜しんで加盟しないお店も多いですが、地域の活動を通してお店の存在をアピールすることも一つの方法です。
(事例)地域活動に参画することで地元の知名度を高めたC店
C店は、個人経営の居酒屋です。出店の際に商店街に加盟し、商店街や町会の回覧板でお店のアピールをすることが出来ました。また、地域団体の活動に参画し、自慢の唐揚げを会合で無償提供するなどすることで認知度を高め、今では3店舗目の出店を検討するまでになりました。
お店の魅力を高めていくためには、自ら情報を発信していくことも重要です。お金を掛けて広告を出さなくてもお店の存在を伝えていく方法は沢山あります。魅力を発信しようと意識するからこそ、更に魅力は研ぎ澄まされていきます。ぜひ、積極的にお店の存在をアピールしてください。
NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木佳文