-第77回-
金融機関との関係を劇的に改善する経営改善計画(1)
-資金調達に効く経営改善計画-
「最初はあんなに借りてくれって言ってたのに対応が冷たい」「メインバンクとか言いながら全く頼りにならない」「困った時には金融機関は助けてくれない」と思っていませんか?
経営改善をサポートした際に経営者が実際に言っていた言葉ですが、それって本当でしょうか?
金融機関から「経営改善計画書を作成してください」と指示を受けて依頼をされるケースが多いですが、そもそも最初から「経営計画書を作成していない」ことが殆どです。
金融機関としても、事業が上手く行くかどうかの判断をする材料が無ければ、追加融資の依頼を受けても「貸します」とは言えません。この事業が上手く行くかどうかの判断をすることを『事業性評価』と言います。近年は金融機関もこの『事業性評価』に力を入れ始めていますので、判断材料としての『経営改善計画書』がとても重要になるのです。返済を猶予して貰う『リスケジュール』の交渉では、絶対に欠かせません。
(事例1)経営改善計画書を作成したら追加融資を受けられたA社
A社は、従業員10名規模のサービス業です。有力取引先からの契約失注により、数年間赤字が続いてしまいました。その結果、取引銀行から追加融資を断られてしまいました。銀行から借り入れては運転資金に回していく綱渡りをしているので、融資をストップされては立ちゆきません。そこで、中小企業診断士のサポートを受けて経営改善計画書を作成することにしました。会社の現実と向き合い、100ページ近い計画書を作成して金融機関に説明したところ、「これなら行ける」と1000万円の追加融資を受けることができました。
(事例2)金融機関の担当者から「借りて下さい」と言われたB社
B社は、家族経営の飲食店です。競合店の出店などで収益が悪化し、金融機関にリスケジュールを申し入れました。中小企業診断士のサポートを受けて経営改善計画を作成して取り組みを進めたところ、急速に業績が回復し、リスケジュールの途中なのに「改善を加速させるために融資をしても良いですよ」と担当者に言われるまでになりました。
さて、冒頭の「最初はあんなに借りてくれって言ってたのに対応が冷たい」「メインバンクとか言いながら全く頼りにならない」「困った時には金融機関は助けてくれない」という経営者の認識ですが、実は勘違いです。
そのように感じてしまうのは金融機関とのコミュニケーション不足が大きな原因です。経営改善計画書を活用して金融機関とのコミュニケーションを取っていくことがお勧めです。
次回は、経営改善計画を策定する際に大切な3つのポイントをお伝えします。
NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木佳文