-第68回-
人材採用のポイント(2)
- 「採用担当者の魅力」と「企業の情報発信」 -

前回に引き続き、人材採用のポイントを説明します。今回は、採用担当者の魅力と企業の情報発信についてです。

採用担当者については、中小企業、小規模事業者ともに経営者が担当するケース一番多くなっています。
次には他業務と兼務するケースや人事担当者が兼務するケースもあります。特定の担当者をおいて、組織的に採用を行うケースは少ないのが現実ではないでしょうか。

採用される側にすれば、採用担当者がその企業のイメージそのものとなります。採用担当者が採用を左右するといっても過言ではありません。
採用担当者が経営者であれば、語られる言葉は企業理念そのものですから、とても魅力的なものになるでしょう。
経営者以外の担当者が採用する場合には、魅力的な言葉を語ることができる人材に担当させるべきです。
そうした人は、仕事もできるでしょうから忙しいかもしれません。
しかし、自社の魅力を語ることにより、自社へのロイヤリティーを強化させることにもなります。人材育成の効果も期待できるのです。

最後に、情報発信力についてです。
発信する情報としては、報酬、労働条件(勤務時間数、休暇数など)、福利厚生、教育研修、人事制度、人員構成、社風など、さまざまな情報があります。
中小企業、特に、小規模企業の場合、あらゆる点で、情報発信が不明確になりがちです。そのため、入社後、ミスマッチが起こり、早期に退職するケースも多くなりがちです。
苦労して採用した人材が早期に退職することは、採用のためのコストを考えれば、不効率極まりないことで、企業にとって大きな損失です。

すべての情報を開示する必要はないとしても、事実は正確に伝えて、ミスマッチを防止するこが重要です。
採用される側にも、正確な情報発信により企業への信頼度を高めて、採用につながることになります。

ある清掃業を営む企業では、中途採用を中心に行っていた採用から、新卒採用への切り替えに成功して、毎年大卒を中心に新卒採用を行っています。
成功のポイントは、情報発信の際に自社のありのままの姿を伝えるようにしたこと、さらにそれを自社の先輩社員が自ら行うことで会社の魅力を伝えるようにしたことです。

以上、採用手段、採用担当者の魅力、企業の情報発信の3点から採用を見直して、是非とも人材採用を成功させてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 田中浩二

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