-第64回-
事業をする上で大切な「お金」の管理方法(1)
- 儲かっているのにお金が足りないことがある!? -
 
創業した方と面談する中で、「利益が出ているはずなのに、なぜかお金が足りなくなる」とお話しになる方が多くいらっしゃいます。本来なら利益が出ていればそれだけお金が残っているはず…と思いますよね。

しかし、実は事業を行っていくうえで、「利益=残ったお金」とならないことはよくあることなのです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。原因としては次のようなことが考えられます。

(1)売上金がすぐにもらえない
  事業を始めると、売上金をその都度もらうのではなく、例えば翌月末にまとめてもらうという契約を取引先と交わすことが多くあります。この場合は、商品が売れたとしてもその場でお金がもらえません。
 
(2)売上金の入金が遅れた
   売上金の入金期日に何らかの事情でお金がもらえない場合があると、当てにしていたお金が入ってきません。

(3)在庫を多く抱えてしまった
   売上の予測がはずれ、商品を仕入れ過ぎて(製品を作り過ぎて)在庫が必要以上に残ってしまうと、その仕入れや製造にかかったお金が商品・製品に形が変わった状態になりますので、それらが売れない限り、お金が入ってきません。

(4)活用されていない資産がある
   事業に必要だと思って設備、機械、車などを購入したにもかかわらず、それがあまり使われていないとしたら、売上に役立っていない資産にお金が形を変えていることになりますので、その分お金が不足することになります。

(5)支払時期が早くなった
   仕入先や外注先などのからの要請で、支払時期を早めたりすると、その分お金が早く出ていくことになります。特に売上金の入金日より仕入代金や外注費の出金日が早く来る場合は、入金を待たずに支払うことになり、確実にお金が足りなくなります。
 
(6)経費が増える
   会社の経費は意識していないと知らず知らずのうちに増えていくものです。必要以上に支払っているものがあれば、その分貴重なお金が外に出て行ってしまいます。

(7)借入金の返済がある
   もし金融機関から借り入れをしている場合、借入金の返済は会計上は経費ではありませんが、お金は確実に出ていくことになりますので、返済金分のお金を用意しておかないとお金が足りなくなります。

(8)事業用のお金を私用に使っている
   小規模な事業者の場合、事業用のお金と生活用のお金が一緒になってしまい、事業用として確保したお金で個人分の支払を行っている場合があります。その場合、当然あるべきお金がなくなっていることになります。

たとえ利益が出ていても、出金が入金を上回るとお金が不足し、その不足分を調達できなければ、事業が立ち行かなくなります。これが黒字倒産といわれるものです。

こんな例を見てみましょう。8万円で仕入れた商品が10万円で売れたとします。この時、売上代金の入金が1カ月後、仕入れ代金の支払が2カ月後であれば、1カ月後に受け取った売上代金10万円で仕入れ代金8万円が支払えて、お金が2万円残ります(その他の経費は考えないことにします)。
しかし、もし売上代金の入金が遅れて3カ月後になった場合はどうでしょう。仕入れ代金の支払条件が変わらないとしたら、売上代金の入金がないまま、2カ月後には仕入れ代金の支払時期を迎えてしまい、仕入れ代金が支払えないことになります。この仕入れ代金を何らかの方法で調達しないと、信用を失い、ひいては倒産することになります。

 では、お金に悩まないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。
次回のメルマガではお金に困らないためにやるべきことをお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 近藤有希子