-第47回-
起業する際に最低限知っておくべき事業計画の思わぬ使い方
-社員・従業員・自分の為に作ることで、事業促進に繋がる-

前回は金融機関、出資者向けという比較的固い事業計画の作り方を紹介しましたが、
今回は視点を変えて社員・従業員向け、
経営者である自分向けに計画を作るということを考えてみます。

経営の相談に乗っていると社員・従業員のモチベーションや責任感に
課題を感じているという話をよく聞きます。
また、社員・従業員と自分の方向感を揃えたいと考える方もいらっしゃいます。
そんな方にお勧めしているのが社員向け事業計画発表です。

或いは事業計画を経営者である自分の為に作る人もいます。
こういう人はいつまでに何をすべきか、その為の必要事項は何かということを明確にし、
忘れないようにしているようです。

□ 社員・従業員向け発表

皆さんの中には、知り合いに対して
事業を手伝ってもらえないか誘っている人がいるでしょう。
或いは、既に事業を始めており、社員・従業員を雇っている人もいるかもしれません。

社員・従業員にもリスクが少なく確実な事業であることを伝えます。
なぜなら、今現在、他の会社に在職していて転職してくるのは勇気がいることですし、
自社に所属している社員も将来どうなるんだろうなという
漠然とした不安を持っているからです。
この点では他の用途の事業計画書と似ています。

一方で社員・従業員の方には、経営者である皆さんができなかったり、
やりきれなかったりすることをお願いすることになりますので、
社員・従業員の皆さんの協力があって始めて、
目標が達成できるという筋書きにします。
これが社員・従業員の方の責任感を養うことに繋がります。
つまり、経営者も社員もお互いにやるべきことを明白にし、
目標達成を約束するわけです。

□ 経営者である自分の為

事業計画は経営者自身の考えをまとめるためにも作られます。
この場合は、現状で課題・問題になりそうなことを列挙する
「調べること・考えることリスト」、
対策が明確なものは何をいつまでに行うかという「やることリスト」、
それをやった結果として資金がいくら必要かという「資金繰り表」という
カタチになることが多いようです。

<事業計画を活用して円滑に融資に繋げた事例>
社員数7人のある社長は自社の社員のモチベーションが低いと思い、
自分の考えと会社の方向性を社員に向けて発表したところ、
社員の自分の言葉に対する理解度が上がり、
モチベーションも改善したように感じられたそうです。

今回は、事業計画を見せる対象者別に計画の内容を考えてみました。
ご参考になったでしょうか。

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NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一