-第45回-
補助金活用のススメ(2)
〜事業の積極展開を応援してくれる制度~

「当社にあった補助金はありませんか?」という質問を受けることがよくあります。
前回記載した内容の復習になりますが、地域経済が活性化されたり、雇用が促進されたりするような、国や地域の政策に沿った目的が達成される取り組み、に対して資金面で応援する仕組みが補助金制度です。
もし、事業の積極展開を考えていらっしゃるなら、なにかしら該当する可能性がありますので、まずは補助金や助成金を探してみることから始めてみましょう。
今回は、補助金申請の進め方、申請にあたっての注意点をお伝えしていきたいと思います。

(1)補助金申請の進め方
1)補助金を探してみる
補助金は国や自治体の予算で動いていますので、年度末や年度始めに募集が始まることが多いです。
また、申請期間が決まっていて締切までの日程が短いため、情報収集のアンテナを広げておくことが大切です。
自社の取り組みにあった補助金がないか、ミラサポ–施策マップ(https://map.mirasapo.jp)やJ-Net21(http://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support2)などで探してみましょう。

2)補助金の概要を理解する
事務局HPに公募要領が出ますので、申請準備にあたり、必ず目を通してください。
ただし、公募要領は何十ページにもわたってことが書かれていることが多く、読み物としては、大変読みづらいものです。
補助金をはじめて活用するという企業の場合は、補助金をテーマとした説明会やセミナーに参加することをオススメします。
専門家が噛み砕いて説明するので、概要理解が促進され、申請に向けてモチベーションも上がることでしょう。

3)申請書(計画書)を書く
補助金によって面接審査がありますが、書類審査だけで採択が決まる補助金が多いため、まずは書類審査をパスしなくてはなりません。
多くの企業から申請がありますので、ポイントが適切に抑えられた申請書が書けるか、が重要となります。

(2)補助金活用の効果
・事業が促進される
事業を進めたくても資金面で心配が、、、という経営者にとっては、一部でも補助されることは本当にありがたいものです。
補助金があることによって、経営者の背中を押してくれる効果があります。
当然ながら、事業がうまくいけば売上利益が上がります。
前回お伝えした、コインランドリーの事例(小規模事業者持続化補助金)では、1日あたりの平均来店者数が3名(約6%)増えました。
そして、入金された補助金で次なる投資ができ、事業が一気に飛躍する可能性が出てきます。
入金された補助金を使って、従業員に慰安旅行という形で還元した企業もありました。

・事業構想が具現化される
補助金申請には、計画内容を書面に落とし込む計画書を作成しなくてはなりません。
計画書は、融資審査などでも使用されますが、多くの経営者は計画書を書いた経験がないため、何を書いていいのかわからず大変苦労されます。
計画内容をひとつひとつ書面に落とし込むことによって、頭のなかで考えていたことが具現化、事業全体が整理されます。
また、客観的な評価を受けることができますし、実施後の振り返りにも役立ちます。

前回お伝えした、ジュースバーの事例(創業補助金)では、創業者の漠然とした「やりたい」という想いから、売上計画や資金計画など一つ一つ確認していき、計画書に整理したことで、これから進めていくべき内容やスケジュールが明確になっていきました。

・リスクが軽減される
計画していた事業が思惑通りに進まないこともあります。
補助金制度を利用できれば、経費の一部が返ってくるため、失敗した経費負担が少なくて済みます。
小さなリスクで大きな成果を得られるチャンス、と考えることができます。
出光興産創業者の出光佐三氏の言葉に、「失敗は授業料」という名言があるように、補助金を取り組んだ失敗を糧にして次のチャレンジで成功、も補助金活用の効果と言えるでしょう。

(3)補助金活用の注意点
1)補助金は後払い、入金はかなり先
例)小規模事業者持続化補助金(平成28年度実施分)の全体スケジュール
28年2月26日 公募開始
28年5月13日 公募締切
審査
28年7月15日 採択発表
28年7月15日〜11月30日 補助事業期間(経費を使って事業を進める期間)
確定検査
29年1月〜2月頃 補助金入金
上記の表のように、申請を決めてから、補助金が入金されるまでおよそ1年がかりのプロジェクトになります。
補助事業期間中に経費を支払い終えたうえで、補助金は最後に入金されるため、事業資金は事前に確保しておかなくてはなりません。
場合によっては、融資を受ける必要がある場合もありますので、事前に資金計画も考えておく必要があります。

2)「お金をもらう」を目的としない
前回、補助金には事業を推進させる、経営者の背中を後押しする効果がある、と書きました。
しかし、補助金=お金がもらえる、という考えから、なかには「補助金をもらう」ことを目的に申請を考える人が出てきます。
「補助金をもらう」ことを目的とした場合、計画書を作っていくうちに「本当にやりたいことなのか、わからなくなった」というような事態が起きます。
「◯◯をしたい。その道筋にたまたま補助金があったので活用する」というように、取り組む目的を間違えないようにしてください。

(4)専門家を活用する
補助金申請は、学校の入学試験のようなもので、申請したら全員がもらえるものではありません。
申請した書類に点数が付けられ、上から順番に合格(採択)という評価が下されます。
初めて計画書作成に取り組む場合、以下のような状況に陥ります。
・なにがしたいのか(第三者=審査員に)伝わらない
・聞かれたことに答えていない、記載された情報が足りない
・根拠がなく計画の妥当性が(第三者=審査員に)伝わらない
など、ないないづくしの計画書になります。
入学試験対策には学習塾や予備校があるように、補助金申請で採択を目指すには、中小企業診断士などの専門家からアドバイスを受けるとよいでしょう。

ぜひ補助金を活用して、事業展開を促進させていただければと思います。

NPO法人中野中小企業診断士会 眞本崇之

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