-第225回-
キャリアは偶然によって形成される
~偶然の機会を上手く捉えて成長する~②
自分のやりたいことや強みがはっきりしないのに、無理に自己実現のためのキャリアデザインをしようとすると、目の前の与えられている仕事に身が入らなくなり,キャリアにプラスになることが何も得られないという無駄な時間を過ごすことになってしまいます。また、変に自分の道を決め打ちすると、視野を狭くし、本当の自分の才能を見極めることができず、成長の可能性を狭めてしまうことにもなります。今回は、キャリアを切り開くための偶然の機会の捉え方についてご説明します。
1. とりあえずやってみる
自分の関心など、これからの長い社会生活の中でいくらでも変わります。偶然の機会や縁をきっかけに、新しい世界を知り、本当に自分のやりたい仕事や適性が明らかになっていくのです。
やってみたら向いているかどうか分かるし,やっているうちにスキルや知識が身につき,それが強みになります。それを繰り返しているうちに,強みが増え,その結果,自分が本当にやりたいことが見えてきます。そして強みを蓄えていれば、それだけキャリアの可能性が開かれ、将来自分が希望する仕事を得るチャンスを捉えることができます。
2.偶然のチャンスをものにするには?
偶然のチャンスをものにするには、ものにできるだけの力をつけておく必要があります。さらには、偶然のチャンスが訪れるのをただ受身で待つだけでなく、積極的に生み出す努力も必要でしょう。そのために必要なスキルとして、次の5つがあります。
① 好奇心
新たな学習機会を積極的に求めること(後で何が役に立つか分からない)
② 粘り強さ
つまずいてもすぐに諦めずに頑張り続けること
③ 柔軟性
状況に応じて考え方や行動の取り方を調整し変更すること
④ 楽観性
状況に応じて考え方や行動の取り方を調整し変更すること
⑤ 冒険心
結果が不確かでもリスクを過度に恐れず、とりあえず全力を尽くしてみること
5つのスキルはこれからどのような仕事に就いても必要になることです。また、今やっている仕事がどのようなものであっても得られるものでもあります。
3.やる気のない部下へのアドバイス
自分のやりたいことが分からず仕事に身が入らない部下には、「とりあえず将来のことは棚上げして、今の仕事に専念してはどうか?」とアドバイスするとよいでしょう。
目の前の仕事に専念することで、知識やノウハウが深まり、意外と本人が今の仕事に適性があることが分かったりするかもしれません。好奇心、粘り強さ、柔軟性、楽観性、冒険心といった能力を鍛えることができ、将来自分のやりたことが見つかった時に、それを得る確率を高めることもできるでしょう。
キャリア論を研究している神戸大学の金井壽宏教授は、与えられた仕事から何か将来につながるヒントを得るには、最低でも3年くらいは我慢して頑張るよう主張しています。性に合わないからいって転職を繰り返すようでは何も得られないということです。
「将来がまずあるのではなく,今の積み重ねの延長に将来がある」という認識をもたせることが大事です。
NPO法人中野中小企業診断士会 三枝元
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