-第42回-
女性の活躍で経営力をアップさせる(1)
-中小企業こそ取り組みたい女性活躍推進-

「女性の活躍推進って言っても大企業のお話でしょ?うちは中小零細だし、関係ないよ」
というのが多くの中小企業経営者の本音かも知れません。

平成28年4月に女性活躍推進法が施行され、従業員数が301人以上の企業に4つの義務が課されることになりました。
また、経済産業省が実施しているダイバーシティ経営企業100選はいよいよ5年目を迎え、平成28年度の公募が始まります。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/entry/

事例を見ても大手企業が多く、法律の枠組も301人以上となっているので中小企業の経営者が
関係ないと感じるのも無理はありません。冒頭の言葉も、採用検討に関連して女性活躍推進法の話題が出た時に
ある企業の経営者がポロリとこぼしたセリフです。

内閣府の発表した推計では、女性・高齢者・若年層の労働市場への参加が進むとして推計した場合でも
2030年までに年平均17万人の労働力人口が減少します。景況が改善傾向に進んだとしても、
採用難の中小企業に益々逆風が吹く要因となりそうです。

最近、「アルバイトやパートが採用できないので廃業する」という話を聞くことが増えてきました。
この会社で働きたい!と感じて貰うための取り組みは、大企業より中小企業こそが喫緊の課題になってきていると感じています。

この会社で働きたい!と感じて貰うためには、その会社に関わる人達から笑顔が生まれる職場であることが重要ですが、
そのような職場環境を生み出すためのアプローチの一つが女性活躍推進です。
子育て中も女性でも活き活きと働ける職場で取り組んでいる仕組み作りは、結果として就業希望者が気になる魅力となるのです。

<優秀な女性事務員を採用した商店街の例>
A商店街は住宅街に立地する近隣型の商店街です。テナントの増加や店主の高齢化などが原因で、
商店街運営のために事務局の担う人材が不在で困っていました。
働きたいけれどフルタイム勤務が難しいママに狙いを定め「短時間勤務」「子連れ出勤OK」「自己都合優先」で
募集を掛けたところ、大企業でキャリアを積んだ優秀な女性を最低賃金で採用することができました。
これまで全く手を付けられなかったホームページの更新なども順調に進んでいます。

<パートに無理をさせてしまい廃業の危機に陥った飲食店>
B店は商店街に立地する飲食店です。中核となる戦力となっていた学生アルバイト数名が
卒業にともなっていなくなり、パートの女性に負荷が集中してしまいました。長時間勤務が常態化し、
「あそこはブラックだ」という噂が広まって新規のパート採用に支障を来すまでになってしまいました。
満席になると一人では回せない営業形態になっていたため、廃業を検討せざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。

消費者代表でもある女性社員は、貴重な戦力であると同時に自社のイメージを左右する口コミの発生源ともなります。
ぜひ、女性活躍推進への取り組みを検討してみてください。

次回は、具体的な取り組みについて触れていきます。

NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木佳文

やる氣ある新卒採用に繋げたムービー作成の秘密を1/18(水)、2/1(水)、2/15(水)、3/1(水)の4回連続で
お伝えし実際に作成していく講座を中野区産業振興センターで実施します。
ぜひ、ご参加ください。 

また、女性活躍推進のヒントとして、「変化への対応力を高めるダイバーシティ経営入門」が役立ちます。

3月11日は合同企業説明会を実施予定で、5社限定で参加企業を募集します。もうすぐ公開予定です。