-第201回-
アフターコロナ時代の働き方(2)
-テレワークの活用でワークライフバランスを実現-
前回はテレワークの現状や時差出勤との組み合わせによる働き方をみてきました。今回はフレックスタイム制、年次有給休暇を組み合わせた事例をみながら導入や運用のポイントをみていきましょう。
社員18名の建設コンサルタント会社の事例です。フレックスタイム制を組み合わせたテレワーク制度を導入し、11時から15時までは必ず勤務しなければならないコアタイム、6時から11時および15時から20時までを始業および終業の時刻を自主決定できるフレキシブルタイムとしました。コアタイムは会議や仕事の打合せの時間として利用し、社内コミュニケーションも図られています。また、コアタイム以外の時間を社員のペースで効率的に活用できる勤務体制により時間外労働の削減と生産性向上に繋がっています。
フレックスタイム制はコアタイムを必ず設定しなければならないわけではなく、コアタイムを設けないフレックスタイム制を導入する企業も増えています。業務特性などを考慮したうえで職場に合ったフレックスタイム制を検討してください。
つぎに年次有給休暇(以下、年休という)と組み合わせたテレワークについて見てみましょう。年休もテレワークと同様に時間単位や半日単位の取得が可能です。例えば、始業時刻から2時間を時間単位の年休とし、終業までをテレワークで働いたり、午前中はテレワークをして午後は半日単位の年休をとることができます。また、年休は10日以上付与されている社員について年5日の取得が法律で義務づけられています。しかし、実際には年5日の年休を取得していない職場も見受けられます。社員11人の電気設備工事会社では新卒や若手を採用してもすぐに辞めてしまいます。最近では、かなり勤続年数の長い社員も退職しました。おかしいと思って社長に確認すると、「とにかく仕事を回すのが精一杯で年休をとれる状況ではない」とのことでした。「休めない、社員が辞めていく、人員不足でますます休めない」といった悪循環に陥ってしまいます。
1日休ませることが難しくても時間単位や半日単位の年休を利用したいものです。半日年休と半日テレワークを組み合わせるパターンはテレワークをこれから導入する場合に適しています。例えば、午前中は親の病院に付き添い、午後は在宅勤務で業務に集中するといったケースが考えられ、まず月に2日だけでも半日年休、半日テレワークを実施してみてはいかがでしょうか。また、半日単位の年休は、先に述べた取得義務のある年5日の年休にカウントされますので年休の取得促進にも繋がります。
テレワークは今後も導入が進むことが予測されます。テレワークの活用は工夫次第で様々なバリエーションが可能ですので、ぜひ職場に合ったかたちで導入、見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。
NPO法人中野中小企業診断士会 豊岡 来実(とよおか くるみ)
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