-第34回-
「資金繰り」を良くするには(1)
~利益が出ているのに、なぜお金が残らない?~

【「資金繰り」はなぜ必要か?】

事業を行っていて、「利益が出ているのに、なぜかお金が足りなくなる」と感じたことはありませんか。これはほとんどの事業者が持っているお悩みです。

「資金繰り」とは簡単にいえば、事業におけるお金のやりくりのことです。事業を継続させるためには、常にお金の「入り」と「出」のバランスを取り、お金が不足しないように注意していく必要があります。

なお、決算書を見てもお金の動きはわかりません。決算書における収入や費用は「発生した金額」で掲載されているためです。「お金がいくら入って、いくら出て行ったか」は書かれていないのです。

たとえ利益が出ていても、入金が出金を上回ると資金が不足し、その不足分を調達できなければ、事業は破綻します。これが黒字倒産といわれるものです。

今回は「資金繰り」が厳しくなる原因を見ていきます。

【資金繰りが厳しくなる原因はなにか?】

では、どういう場合に資金繰りが苦しくなるのでしょうか。主な原因としては下記が考えられます。

(1)売掛金が増える
   商品を掛け売りすると、すぐに現金が入ってきませんので、入金までの間はお金がないことになります。このため、売掛金が増えるとその分資金繰りが厳しくなります。

(2)売掛金の回収が滞る
   掛け売りの入金期日にお金が回収されない場合も、当てにしていた資金が入ってきませんので、資金が不足することになります。

(3)在庫が増える
   仕入れた商品が売れずに長期間残っていたりすると、お金が商品の形に変わったままの状態が続きますので、資金が逼迫する原因になります。

(4)支払時期が早くなった
   仕入先や外注先などの要請で、代金の支払時期が早まると、その分お金が早く出ていくことになり、資金不足を招く原因となります。特に売上金の入金日より仕入れや外注費の出金日が早く来る場合は、確実に資金が足りなくなります。
    
(5)活用されていない資産がある
   機械、什器、車などを購入したにもかかわらず、それがあまり使われていないとしたら、事業収入に貢献していない資産にお金が形を変えて固定されてしまいますので、資金不足が生ずることになります。

(6)経費が増える
   会社の経費は知らず知らずのうちに増えていくものです。必要以上に支払っているもの、惰性で払い続けているものがあれば、その分貴重な資金が流出してしまっています。

(7)会社のお金を個人で使っている
   小規模な事業者の場合、事業用のお金と生活用のお金が一緒になってしまい、会社から個人分の支払を行っている場合があります。その場合、当然あるべきお金が減ってしまいます。

(8)取引先の倒産
  あってほしくはないですが、もし大口の取引先が倒産した場合には、一気に資金繰りに窮します。

 では、資金繰りを改善するにはどのようにすればよいのでしょうか。
次回のメルマガでは資金繰りの改善策についてお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 近藤有希子