-第32回-
事業コンセプト確立のすすめ(1)
~つくり方と活用のヒント~

みなさんは事業コンセプトを明確にしていますか?今回は事業を行う上で大切な事業コンセプトのつくり方や、活用について2回に分けてお話ししていきます。

そもそも事業コンセプトとは?
本題に入る前に、まず事業コンセプトとはなんでしょうか?「コンセプト」という言葉を辞書で調べてみると、
“1 概念。観念。 2 創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。「コンセプトのある広告」”
とあります。したがって事業コンセプトとは、その事業の本質的な特徴により事業の重要性や価値(→これを存在意義といいます)を示すもの、となります。簡単にいうと「何のためにどんな事業を行うのか」を決めることです。

なぜ事業コンセプトが必要なのか
逆に無いとどうなるか考えてみましょう。事業コンセプトが無いということは、極論すると「事業の存在意義が無い」ということになります。また事業コンセプトを決めないでいろいろな事業に手を出していると、他社から見た時に「何の会社なのか分からない」ということになります。事業コンセプトは、他社に対して事業の存在する重要性をアピールし、経営の方向性を決めるうえで大切なものとなります。

事業コンセプトのつくりかた
では事業コンセプトをどうやってつくっていけばよいのでしょうか。はじめに次の3つの情報を整理します。
①販売する商品やサービスはなにか
②参入する業界やターゲット顧客はどこか
③業界やターゲットに対する重要性はなにか
うまく発想できない場合は、競合する(ライバル店などの)商品やサービスをみて、未開拓のターゲットや未解決の課題があるかを考えてみます。もし今まで提供されなかったものを、自社の強みを活かして提供できる方法があれば、それが使えるかもしれません。
次にこれらを組み合わることで、コンセプトを考えます。例えば上記の3つの情報が、
①創作ケーキ
②洋菓子ファン
③新たな価値の提供
の場合、
「季節ごとの創作ケーキで、洋菓子ファンに新たな美味しさを伝える」
といった事業コンセプトをつくることができます。

今回は、事業コンセプトの意味とつくり方をお伝えしました。次回は、事業コンセプト確立時の注意点や活用についてお伝えします。

NPO法人中野中小企業診断士会 黒崎広行