-第29回-
クラウド会計で経理業務の効率化(2)
~レポート機能で経営状況の見える化を~

前回はクラウド会計でできること、特に取引情報の入力の手間がはぶけることによる経理業務の効率化についてお伝えしました。今回は、クラウド会計のレポート機能を利用した経営状態の見える化についてお伝えしていきます。

1.クラウド会計のレポート機能
クラウド会計のレポート機能では、日々の記帳(自動取得でのデータ収集でも可)を行えば、資金繰りレポートや売掛金・買掛金レポートなどの各種レポートを自動で生成。リアルタイムに資金繰り状況を確認でき、タイムリーな経営判断を行うことができます。

2.出力レポートを利用した経営状態の見える化
「Tech in Asia」にて、「注目の国内フィンテックベンチャー10社」に選ばれ、利用ユーザ数40万、導入会計事務所数1,200事務所(平成27年8月)となった、株式会社マネーフォワードが運営する『MFクラウド会計・確定申告』のレポート機能を例にとって、経営状態の見える化について説明します。

『MFクラウド会計・確定申告』では、以下のレポートを出力することができます。
①キャッシュフローレポート:過去、現在、将来の入金、出金および現金残高を表示します。
②収益レポート:収益内訳、月次推移(勘定科目別、補助科目別)、収益詳細(実現済一覧、未実現一覧)などを表示します。
③費用レポート:費用内訳、月次推移(勘定科目別、補助科目別)、費用詳細(実現済一覧、未実現一覧)などを表示します。
④得意先レポート:得意先(取引先)ごとの売掛金や参照期間の売掛金の一覧を表示します。
⑤仕入先レポート:仕入先(取引先)ごとの買掛金や参照期間の買掛金の一覧を表示します。
(MFクラウド会計 操作マニュアルより抜粋)

従来の会計ソフトでも同様のレポート出力は可能ですが、クラウド会計の良いところは、口座情報(残高、入出金明細)やクレジット利用明細が自動取得できるため、ほぼリアルタイムで正確な情報を確認できること、スマホやタブレット端末などで場所を問わず情報参照できることが上げられます。
日々これらのレポートを確認することで、自社の経営状況の確認・分析が可能になるため、感や経験値だけでない数字に基づいた経営判断ができるようになります。

〈レポート機能を活用した経営状態の見える化事例〉
駅前で飲食業を営むB社では、経理業務はすべて顧問税理士に依頼していました。口座情報や請求書・領収書などの書類を月次で税理士に渡し、作成されてきた各種レポートを確認するという形です。確認できるまでにタイムラグがあるため、レポート内容をつかっての分析等も行っていませんでした。
クラウド会計を導入してからは、お金の流れがリアルタイムに見えることができるようになり、客単価の推移等もわかるようになったため、メニュー構成の変更の効果も測定でき、より迅速な対応を行うことができるようになりました。

クラウド会計ソフトの多くは一定期間無料体験可能なため、自社の環境(会計知識の有無や顧問税理士との関係、既存会計ソフトがある場合はデータ移行可否など)やソフトの操作性などを十分に確認し、自社にあったものを選定するようにしてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 田村亘

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