-第26回-
  商店街活性化と創業について(1)
~商店街の活性化とは~

商店街の活性化が叫ばれてから久しいが、活性化とはどのようなことなのだろうか。

商店会の基本的な活動は、イベント等を通じてその商店会が活動する商店街区に多くの人を集め、加盟する各個店の売上に貢献することである。売上をどのように確保する、増加させるかは各個店の責任ともいえる。そのために商店会組織は、売り出しやイベントなどの共同経済事業や街路の整備を行う環境整備事業を行ってきた。商店街とはその街区に立地する地域商業者の共同経済運命体であった。

 なぜ行政は商店会組織が行う共同経済事業や環境整備事業に補助金を出してきたのだろうか。それは商店街街区という商業集積が「まちのインフラ」であり、住民にとっては生活するための必需品を手に入れるために重要な存在であった。その意味では、商店街は非常に身近な地域性の強い存在であったが、車社会の進展やネットによる商品購入等ライフスタイル変化により流通が大きく変化した。特に移動手段を車に頼っていた地方都市では、大きな駐車場を備えたショピングセンターの進出は中心市街地の商業集積に大きな影響を与えた。中心市街地の衰退は、空き店舗の増加のみにとどまらず、固定資産税など地方自治体の収入や雇用の場の減少、祭りなどの伝統的な行事の停滞を招いた。

 J・ジェイコブスは「発展する地域 衰退する地域 ~地域が自立するための経済学~」の中で、公共事業や工場誘致に頼るのはやめて、地域が持つ財を利用し、住民の創意を活かした活動をしない限り、経済的発展はない、かつてのベネチアのように必要なものを自らの手で作り、近隣地域と共生的な交流を行えば、技術は高まり、雇用も生まれ、地域は自然と活性化すると結んでいる。

 商店街の活性化は、地域の活性化なくしてはあり得ず地域を舞台として、たえず新しい商品やサービスを絶え間なく供給する事業者がいなくてはあり得ない。

NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木隆男

中野区産業振興センターでは、創業者や経営者のためのスキルアップセミナーを開催しています。
厳しい環境の中でも商店街にお店を持って街を盛り上げていきたい人のために、
出店のリスクを押さえるポイントを先輩商店主をゲストに迎えて学ぶ事例研究講座を5月17日に開催します。
ご興味のある方はご参加ください。