-第169回-
採用にあたって応募者のどこに着目すべきか?(2)
~ 後から伸ばしにくい能力に注目する ~
前回、能力には、「変わりやすい能力」「可変的だが変わりにくい能力」「非常に変わりにくい能力」があることについて触れ、「変わりにくい能力」に注目して採用を行うべきであると述べました。今回は、それを踏まえた上で、採用にあたっての手順について取り上げます。
1.その能力は自社内で育成の機会があるか
ブラッドフォードは、「簡単に変化する能力」は採用後に育成できるのだから採用段階においてしゃかりにきなってみる必要はなく、「非常に変わりにくい能力」については、採用段階でしっかり見ておかないと、後々どうしようもないと主張しています。
しかしながら、採用後にも、自社で育成できないという場合もあるでしょう。たとえば、コミュニケーション能力は育成可能ではあるが、育成する機会や育成するスタッフがないということもあるかもしれません。
よって、採用段階では、「その能力は育成可能かどうか」ということの他に、「その能力を自社内で育成の機会があるかないか」という点も必要になります。
2.採用にあたっての手順
以上から採用にあたっての手順は次のようになります。
①「採用応募者のどの能力を評価するか」
自社にとって意味のある能力は何かを洗い出しておくということです。意味のない能力なら、当然ながら採用段階では考慮しません。
②「その能力は変わりにくいか」
「変わりにくい能力」なら採用段階で重点的に見て、「変わりうる能力」なら基本的に
は採用後の育成に委ねます。
③「その能力を育成する機会があるか」
その能力を育成する機会があるのであれば、採用段階で見るべきものではない可能性が
高いですが、育成が難しい場合は、採用段階で見るべきです。
一般的に第一印象がよい人物を採用する傾向があり、必要な能力は後から教育すればよいと考えがちですが、「変わりにくい」、あるいは「変わりやすいが自社内で育成機会のない」能力を持った人材を採用するべきです。採用してから「もっとできると思った」と後悔することがないよう、業務で必要な能力を洗い出し、その能力を持った人材を採用するようにしましょう。
NPO法人中野中小企業診断士会 三枝元
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