-第98回-
既存社員を戦力化するポイント
-社員が得られる利益を明確にする-

本稿は既存の社員の戦力化について2回に分けてお送りします。
前回は痩身ジムと会社の違いから意思疎通について考えてみました。
今回は既存社員を戦力化する具体策の残りについてです。

・ 参加者の利益と活動との関連性
痩身目標の達成が参加者の利益となることが明白です。
この痩身ジムの広告は、プログラムの内容ではなく、プログラム完了後の参加者の容姿を訴求しています。

会社で考えると社員個人の利益と会社業績との関連性を明確にするということです。
その為には、やはりボーナスを出すのが社員には一番分かりやすいようです。
できれば経営計画の発表を行い、目標達成の際にボーナスが出ることを説明すると、
より社員の理解が深まります。

ボーナスを出すためには、目標達成時の資金シミュレーションをしておく必要があります。
特に在庫が膨らみやすい小売業や売掛金が大きい建設業、ソフトウェア受託開発業では、利益は出ていても、手元資金が残りづらい傾向にあります。
計画時にシミュレーションを行ってみて、決算の3ヵ月前にもう一度試算してみると、
ボーナスを払えるかどうかがより確実に分かります。

・ 客観的な指標
減量という分かりやすく客観的な指標を用いることで、トレーナが参加者を評価する必要がありません。

会社であれば、利益を目標にすることが多いようです。
小規模な会社であれば、全社利益を全社員の目標とし、10人以上の会社であれば、部署ごとに目標を設けます。
部署のマネージャが目標達成の役割を担うというわけです。
目標については進捗を常に社員に伝えるようにします。
目標未達の場合、どうすれば目標達成できるかを社員に考えてもらうためです。

進捗を伝える機会は、月次の全体会議や朝礼が多いようです。
営業が強い会社では毎日売上を報告しています。

以上のことから、1.社員面談、2.計画発表と3.定期的な会合、4.利益が出たら社員にも還元するという経営の基本的な仕組みを活用すればできそうです。
他社でやっていることにはこんな意味があります。

前回と今回の2回に分けて、既存社員の即戦力化について考えてみました。
既存社員が自ら考えて行動するには、個人の自己実現の一部として、会社業績もあるという当たり前の事実をきちんと理解させることが必要です。
その為に、社員との意思疎通を強化し、例えば、社員面談、計画発表、定期会合、ボーナス支給を行います。
どうでしょうか、イメージが湧いたでしょうか。

皆さんの経営のご参考になれば幸いです。

NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一