-第91回-
お客様に刺さる販促ツールのポイントはこれだ! (1)
― 刺さる販促ツールは「順番」が大切 ―

WebやSNSなどのインターネットによる販促や集客が一般的になった現在でも、チラシやパンフレットといった紙の媒体は重要な販促ツールの一つです。今回は、WebやSNSにも活用できる販促ツール作成のポイントについて、チラシ制作を中心に考えてみましょう。

1.たかがチラシ、されどチラシ
事例1 お客様のターゲットとチラシ
先代経営者からエステサロンを引き継いだAさんは、内装やサービス内容も一新してチラシで集客を始めました。チラシを配布するエリアや時間を変えたり、配布数を増やしても、問合せ数や来店客が一向に増えないために、経営相談に訪れました。
チラシを拝見してお話をお伺いすると、内装やサービス内容は中高年の高所得者向けの落ち着いた雰囲気に変更したのに、チラシは依然と同じ業者にそのまま発注していたため、20~30代のOL向けの内容になっていました。コピーや色味のほか、文字サイズ等も見直したところ、問い合わせは7倍、来店客も2.5倍に増えました。

事例2 デザインを凝ってみたものの
飲食店を開業したBさんは、友人のデザイナーに依頼してイメージカラーやロゴにも凝ったチラシを作って折込広告を続けていましたが、思ったような反応が現れないことで悩んでいました。チラシを拝見すると、確かにデザインはバッチリなのですが、特長やウリがよく分かりません。
開業のきっかけやBさんのこだわり、メニューの特徴をお聞きすると、千葉の契約農家から仕入れる野菜や無添加の調味料を使った料理がウリと分かり、早速内容を見直してデザイナーに作り直してもらいました。今では、Webサイトの内容も書き換え、家族連れやシニア層などのヘルシーで安心な料理に固定客ができ、口コミで来店してくれるお客様も増えています。

2.大切なのは順番を間違えないこと
2つの事例で共通している失敗は、順番を間違えていることです。販促や集客のためにWebサイトやチラシを作る際に、どの写真を使おうとか、文字や背景の色をどうしようといったデザインやコピーを真っ先に考えてはいませんか? 目につく、読んでもらうための工夫はもちろん必要ですが、その前にしっかりと考えなければならないことがあります。その順番を間違えると、せっかく時間とコストをかけて作っても、結果につながる販促ツールにはなりません。
順番1 分析~戦略~制作
事例1で見直したのは、ターゲット分析や顧客戦略を先に考えたうえで制作に進んだ点です。この事例のように、顧客や競合、製品やサービスの特長などの分析や戦略があいまいなままに、いきなり販促ツールの制作に入っているケースがよく見受けられます。

順番2 マーケティング~デザイン
事例2の失敗は、デザインを重視するばかり、商品の特徴やお客様ニーズといったマーケティング面を制作時に考慮していなかった点です。順番①でしっかりと分析して戦略を考えてから制作に入っても、デザインや見た目ばかりにこだわって、ターゲットであるお客様への訴求ポイントや訴求の仕方といったマーケティング面が考慮されていなければ台無しです。

今回はチラシ制作の事例を元に販促ツールについて考えてみましたが、最も重要なのは経営者自らがしっかり考えて、整理することです。創業前に市場や競合を分析したうえで、ビジョンやコンセプトを固め、計画や戦略を立てることで、ブレずに説得力のある販促ツールになります。次回は、販促ツールを実際に制作する際のポイントを考えたいと思います。

NPO法人中野中小企業診断士会 木佐谷 康