-第81回-
ほぼ無料で宣伝できる、プレスリリースを活用したPRのススメ(1)
~ 強みを整理して、メディア露出とプランディングの一石二鳥を狙おう ~

創業を検討されている方はもちろん、ほとんどの経営者は、どうやって自社及び自社の商品・サービスを広く知ってもらうかということに、いつも頭を悩ませていると思います。中野区産業振興センターの講座の中でも、販促やマーケティングは人気の高いコンテンツの一つです。
ホームページ、SNS、チラシ・パンフレット、広告など、さまざまなマーケティング・ツールは知っているが、コストを考えるとなかなか効果的な手が打てないという方も多いでしょう。そこで今回は、限りなくコストをかけずに対応でき、しかも効果が現れればどんな広告にも勝る【プレスリリース】について、よく寄せられる疑問と合わせてご紹介します。

Q. そもそも、プレスリリースってどんなもの?
プレスリリースという言葉は聞いたことがあるけど、自分には縁がないものと思っていませんか? いえいえ、プレスリリースは誰でも使えて、うまく当たれば効果抜群のマーケティング・ツールなのです。「新規オープン!」、「来週から新商品を販売開始」といった情報と特徴・ウリをまとめて、雑誌や新聞、テレビ等に送るだけで構いません。記者や編集者が、「面白そう」とか「特集に合うかも」と思えば、取材して記事を掲載してくれるのです。

Q. 効果は期待できるの?
区内のある飲食店では、新メニューやキャンペーンの情報を根気強くプレスリリースで宣伝していたところ、情報誌で取り上げられ、遠方からのお客様が一気に増えました。しかも、それ以降は、半年に1回程度雑誌に取材されるようになり、その都度新規来店客が増えています。実は、記者や編集者は、いろいろな媒体から新しい情報を探しているので、一度掲載されると何度も取り上げられることがあります。
また、ケーキ店がアレルギーフリーのクッキーを新発売したことをプレスリリースで流したところ、テレビのニュース番組で取材され、来店客が増えただけでなく、地方の食品製造会社から量産化の話が舞い込んで更なる波及効果が出たという事例もあります。

Q. プレスリリースと広告とは何が違うの?
「プレスリリース(広報やPRと言われます)と広告の違いがよく分からない」というのも、よく聞かれる質問の一つです。非常にざっくりと割り切ると、プレスリリースはお金を払わない宣伝、広告はお金を払う宣伝ということができます。
お金を払わないで記事にしてもらえるのだから、これほど素晴らしいものはないのですが、「タダより高い物はない」という言葉通り、プレスリリースにも注意が必要です。それは、「自分の思った通りの記事が掲載される保証はない」ということです。
広告の場合は、原稿の内容をチェックして、法律に反しない限り自分が思った通りの内容を載せることができます。一方でプレスリリースの場合は、記者や編集者が記事を書き、原則として記事の確認はできないので、内容は一切保証されません。「アピールしたい内容が掲載されない」、「意図したことと反対のことが掲載されてしまった」といったトラブル?が起きる可能性もあるので注意が必要です。

マーケティングに予算をかかられない創業時は特に、プレスリリースが有効な宣伝方法となります。効果的なプレスリリースを作る際には、すぐにタイトルや文章を考えるのではなく、事前に自社の強みやお客様のメリットなどをしっかりと整理しておくことが重要です。整理することで、チラシやWebサイトを作る際にも同じメッセージが伝えられ、ブランディングにもつながります。次回は、プレスリリースの実際の書き方や取り上げてもらうためのコツについてご紹介します。

NPO法人中野中小企業診断士会 木佐谷 康