-第66回-
補助金・助成金を活用する(2)
- 創業時に活用できる補助金・助成金の紹介 -
前回は、補助金・助成金とは、どのようなものか、また活用するにあたっての注意点などについて解説しました。今回は創業時に活用できる補助金のうち、おすすめの補助金・助成金についてご紹介します。
■創業時におすすめの補助金・助成金
1)創業補助金(創業促進助成金)
国(経済産業省)が扱う創業補助金は、昨年度から予算が大きく減り、採択率が低下しています。これに対して東京都が扱う「創業促進助成金」は、補助率2/3で、300万円までの助成金が用意されていて、従来通りの予算となっているようです。対象者は、各自治体の相談や創業塾などを受けている必要がありますが、創業後5年以内なら応募可能ですのでおすすめです。募集期間が限られていますので要注意です。
2)小規模事業者持続化補助金
創業者に限らず小規模事業者への販路開拓等の取組みに対して、補助率2/3で50万円までの補助金が用意されています。補助金の申請には経営計画作成が必要ですが、計画を作成する際と、実際の取組みを行う際には商工会議所の指導が受けられますので、多くの事業者がこの補助金を活用しています。具体的には、販路を開拓するために必要なパンフレット作成やホームページの開設、集客のための展示会出展、イベント開催費用、IT化推進費用などが対象になります。
3) 創業融資制度 利子補給金
中野区では、創業支援として創業支援資金制度があります。この制度は中野区内でこれから創業する方や創業して1年未満の方が、金融機関からの事業資金の借入れに際し、区のあっ旋を受けることで、区から金利の一部補助が受けられるものです。産業振興センターでの創業支援による創業計画書完成後、創業支援診断を行い、区のあっ旋が可能であれば、融資の申し込みとなります。区の利子補給により、本人負担利率が0.4%と非常に低利となっております。
<補助金活用と創業促進助成金活用の事例>
-補助金を活用して展示会に出展し、引合いが殺到した事例
Bさんは、もともと実家が家具職人で作り付け家具製造を手伝っていました。大学の建築科を卒業したこともあり、多くのデザイナーなどの仲間と国産材を使ったストーリー性のあるデザイン家具のブランドを立ち上げました。この家具の販路を開拓するために、持続化補助金を活用して国内で大きな影響力のあるインテリアの展示会に出展したところ、大手家具メーカーや家具販売チェーンなどから引合いが殺到しました。次の課題は、これらの引合いに対応できる生産体制と運転資金の調達です。Bさんは創業して創業融資を受けると共に、創業時から支援を受けている中小企業診断士の支援の下で、東京都の創業促進助成金申請の準備を行っています。
この事例では、Bさんは創業支援を受けた中小企業診断士に相談して、展示会出展方法や生産体制、原価管理方法などのアドバイスと共に、創業時に活用できる補助金・助成金について教えてもらい、資金調達を円滑に行うことができました。
新たな取組みや販路開拓に成功している事業者は、これらの補助金・助成金を積極的に活用して大きな成果をあげています。これから事業も始められる方も、創業計画を立てると共に、補助金・助成金の活用も視野に入れて事業を立ち上げてください。
NPO法人中野中小企業診断士会 長谷川綱雄
中野区産業振興センターでは、経営者の経営力アップや創業のバックアップになるセミナーやイベントを開催しています。ぜひご参加ください