-第51回-
起業のアイディアをカタチにする(2)
- アイディアを探すのが難しい方向けの方法 -

前回は自分が本当にしたいことという観点で起業のアイディアを考えてみました。
今回はアイディアを見つける方法について考えてみます。

よく聞く話ではありますが、起業のアイディアが思いつかない・・・
確かに世の中を見まわしてみると革新的アイディアで成功した起業家のことが報道で紹介されていたりします。
でも、なかなか、そんな革新的なことは思いつきませんよね。

そこでまずは今の仕事に考えてみることにします。
ここでは顧客と商品・サービスを軸に考えてみます。

□ 今の顧客に今の商品・サービスを提供できないか。

完全に現在の業務の延長で起業するということです。
飲食店では「暖簾分け」と呼ぶこともあります。
また、士業やエンジニア等、特殊技能を持った人は独立という形で起業します。
飲食店などの立地産業では、独立して新しい場所に新しい店を開くのは、
今の会社の仕事を奪うことにならないので比較的よく見る起業形態です。
勿論、今の会社に対し、自分の起業が競合になってしまわないように、配慮することが大事です。

皆さんの今の仕事はどうでしょうか。
全く同じビジネスを始めることができるでしょうか?
起業するにあたって独立を歓迎している会社に勤めて、
ノウハウを勉強するのもアイディアを見つける一つの方法です。

□ 今の顧客に新商品・新サービスを提供できないか。

これはニーズに注目した考え方です。
今のお客さんに追加で買ってもらえるものがあれば、具体的な顧客を想像しながら考えられますし、
顧客に対して面識があれば、話を聞いてもらえる可能性も大きいと考えられます。

全くの新商品・新サービスでなくても構いません。
もっと安く提供できるか、もっと能率的に運用できるか等、効率、性能等を検討することもできます。

ニーズの探し方は、例えばお客さんに聞いてみる、身近な人に聞いてみる、
自分が困っていることや不便なことを考えてみるという方法があります。
このニーズに対してうまく商品・サービスを提供できれば、事業になります。

□ 新しい顧客に今の商品・サービスを提供できないか。

これは顧客に焦点を当てた発想法です。
今の商品・サービスが素晴らしいものであれば、それを他の分野に転用できるかもしれません。
勿論、商品・サービスも全くそのままという訳にはいかないでしょう。
例えば、飲食店がお持ち帰りやお弁当も始めたというイメージです。

今の仕事の商品・サービスを違うお客さんに売ることができれば、これも起業のアイディアになります。

□ 新しい顧客に新しい商品・サービスを提供する

全く新しいことを始めるのが、当然のことながら一番「ハードル」が高いです。
お客さんも商品・サービスもないところから、商品・サービスを新しく開発し、お客さんを探してくるのは、ちょっと考えただけでも難しそうです。
相当な情熱や信念が必要と考えられます。

どうでしょうか。アイディアが具体的になってきたでしょうか。
ぜひ、様々な切り口でアイデアを検討してみてください。

<新しい顧客に今の商品を提供した例>
あるアクセサリー店では、オリジナル商品の企画、デザインを行い、製造は海外に委託していましたが、
店舗でお客さんに売るのに加えて、卸先(販売提携先)を探し出してきました。
今では商品のデザインが評価されて、売上は店舗と卸で半々程度になったそうです。

NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一