-第46回-
起業する際に最低限理解しておくべき融資、出資の為の事業計画の立て方
-金融機関、出資者向けに事業計画を作る際の大切なポイント-

「事業計画って何を書いたら分からない」という声をよく聞きます。
確かに事業計画と聞かれてもピンとこない方も多いかもしれません。

事業計画は誰に向けて書くのかという点を具体的に想像してみると、
イメージが掴みやすくなります。
例えば、金融機関の融資申請の為、
誰か出資してくれる人がいればその人への説明資料、
社員・従業員がいる会社では社員・従業員への発表の為、
勿論、経営者自身の為というのもあります。
誰に見せるものかはっきりしてくると、
書く内容も想像がつくようになってきます。

□ 金融機関の融資申請の為

自己資金や出資だけで事業を始める資金が足りない場合には、
金融機関に融資を申し込むことになります。

金融機関に融資を申し込む際には、返済できることが大前提になります。
その為、事業をやっていく上で難しい点をどう乗り越えていくか、
自分で工夫した点などを記載し、事業が順調に進むことを示します。
つまり、リスクが少なく確実な事業であることを事業計画書で示すわけです。
併せて、事業に資金がいくら必要なのかを試算し、
いくらは自己資金で残りのいくらを融資してほしいという筋書きの事業計画になります。

お金の計算と聞くと難しく考えてしまいますが、
まずは左側に使途、右側に調達元(自己資金、融資)を書き出してみて、
右と左が一致するものを作ってみてください。
これで初期的にいくら必要かを明確にします。
加えて、事業が軌道に乗った場合の利益を計算してみて、
この額が返済額を上回っている必要があります。
そうでないと返済できないことになりますので、融資を受ける際には必須です。

□ 出資者への説明資料

皆さんの中には起業や新規事業の為に
第三者に出資してもらう方がいるかもしれません。

出資者への説明資料も金融機関向けの事業計画と、
リスクが少なく確実な事業であることを示す点は似ています。
当然、誰でもリスクの高い事業への投資には躊躇します。
出資には利息がありませんので、
一般に出資というと配当を目的とする場合があります。
また、企業が成長し、株式が大幅に値上がりすれば、
株式を買った時と売った時の差額も利益になります。
そのような場合には、事業の将来性、市場規模がどれぐらいあって、
うまく行った場合にどの程度の利益が出せるかを示します。

<事業計画を活用して円滑に融資に繋げた事例>
起業を予定しているある人は、
最初に金融機関に相談に行った時には担当者には関心がなさそうに感じたそうです。
そこで業種特性上課題になりそうなことを列挙し、
自分がそれに対してどう克服するつもりかを書いた事業計画を持って行ったところ、
融資担当者も融資に乗り気になってきたそうです。

如何だったでしょうか。
今回は比較的固い事業計画の一言助言でしたが、
何を書くかイメージが湧いてきたでしょうか。

いや全く分からなかったという方には、
中野区産業振興センターで経営相談、創業相談を無料で受け付けております。

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NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一