-第44回-
補助金活用のススメ(1)
〜経営者のやる気を後押ししてくれる資金面での支援制度〜

創業したいけれど資金的に不安がある、予算がなく積極的な販促ができていない、といったお悩みについてよく相談を受けます。
そんなときに補助金や助成金をご紹介するのですが、「知らなかった!」という経営者は意外と多いのです。
そこで今回は、補助金の活用事例を交えながら、補助金の基礎知識をお伝えします。

●補助金とは
補助金制度は、「政策目標に沿った事業」を行う企業の中から、「適切な企業(採択された企業)に対して、「使用した経費の一部が、後払いで支給される」取り組みです。
様々な機関:国・自治体・民間企業などから、様々な目的:ものづくり・創業・試作開発・設備投資・販売促進・海外展開・知的財産活用などの補助金があり、一説によると数千種類ほどある、と言われています。
お金を借りる「融資」では必ず返さなくてはなりませんが、「補助金」は(原則)返す必要のないお金、です。
誰でももらえる/早い者勝ちでもらえるわけではなく、審査で選ばれた(「採択」といいます)企業だけがもらえるお金、となります。

●補助金活用事例① 〜創業
今回は、創業者向け補助金の事例をお伝えしていきます。
これから創業をする方、もしくは創業して間もない方を対象に、創業に係る費用の一部が補助される補助金です。
ただし、ごくありふれた事業をする場合は対象にならないことが多く、新技術、新たな需要の創出、新たなビジネスモデル、革新的なサービス、のように特徴がある事業が対象となります。
創業者向けの補助金は、国や自治体などいくつもあって申請要件や補助される経費項目がそれぞれ異なります。
例えば、東京都(事業名:創業助成事業)では、人件費、賃借料、法人設立費、広告費で使用する経費から、補助率2/3、最大300万円が補助されます。

<活用事例>
1)取得した資格を活かして、海外で話題のジュースバーを開店
Aさんは、食べ歩きの趣味が講じて取得した資格を活かして、海外でも話題になっているジュースバーの開店を計画していましたが、自己資金面で不安があったことから、創業補助金の獲得を希望されていました。
開店前から補助金獲得、融資申し込みなど、主に資金面において専門家から指導を受けながら、店舗オープンにこぎつけました。
補助金では、内装工事費、各種設備購入費用、店舗家賃など200万円分が補助され、店舗オープンに際し、日本政策金融公庫から500万円の融資実行もされています。
オープン時に資金面での支援を最大限活用できたこともあり、比較的早い時期から事業も波に乗り、現在では、仕入れの野菜がなくなり次第終了、というような繁盛店になっています。

<その他の活用事例>
2)証券マンから一念発起の独立開業!夫婦で古民家カフェを開業(内装工事費が200万円分補助されました)
3)女性の悩みを解決させる商品を試作開発、商品化して販売(商品開発費、広報費が300万円分補助されました)

●補助金活用事例② 〜販路開拓
平成29年度も公募が予定されている「小規模事業者持続化補助金」を事例としてお伝えします。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓にかかる費用の一部(補助率2/3、補助金額は上限50万。※雇用増加、賃上げ、海外展示会に取り組む場合は最大100万円)が補助される補助金です。
申請対象者は、常時使用する従業員数が20名以下、卸売・小売・サービス業の場合は5名以下の小規模事業者で、個人事業主も対象となります。

<活用事例>
1)コインランドリー店の、車上からの視認性向上のための看板設置
大型洗濯機&乾燥機を備えるコインランドリーA店は、バス通りに面しているにも関わらず、建物の影に隠れてしまうため、車上からの視認性が低いことが集客力向上の障壁となっていました。
そこで補助金を活用して、袖看板を設置し視認性の向上を図るのと同時に、地域住民へのチラシ、サービスチケットの配布を行いました。
この補助金の取り組みによって、1日あたりの平均来店者数が20人から23人に向上が図られました。

<その他事例>
2)和食居酒屋の、新メニュー開発のための設備導入
3)洋食レストランの、バス広告、駅広告による認知度向上
4)ユニフォーム販売店の、事務所から自社店舗へのリニューアル工事
5)リフォーム工事業の、WebサイトリニューアルとSNS連携、Web広告
いずれの事例も各社の取り組みでかかった費用のうち、50万円が補助されました。

次回は実際に申請するにあたっての進め方や注意事項についてお伝えしていきます。
ぜひ積極的な活用を検討してみましょう。

NPO法人中野中小企業診断士会 眞本崇之