-第215回-
小規模事業者における人材採用のコツと定着のポイント(2)
― [求職者の心をつかむ! 採用力を高める広告戦術] ―

前回は、1)ビジョンとカルチャーの明確化と、2)求人内容の検討についてお話ししました。今回は、具体的な求人広告の活用方法について考えましょう。

3)求職者目線に立った求人広告の作成
求人広告は候補者との最初の接点となるため、非常に重要です。まず、具体的な職種名だけでなく、職務内容や魅力を伝えるキャッチフレーズを考えましょう。「飲食店スタッフ」という表現だけでは、魅力が伝わりにくいです。例えば、「お客様に笑顔と美味しいイタリアン料理を提供する飲食店スタッフ募集」といった具体的な働き方やミッションを示す表現を取り入れると、求職者の関心を引くことができます。また、給与だけでなく、成長の機会や業界でのスキル習得、ワークライフバランスの充実など、求職者にとってのメリットもアピールしましょう。求職者が抱える悩みや問題を解決する点にも触れることで、応募意欲を高めることができます。

4)広告キャンペーンを展開する
求人広告プラットフォームに掲載することで、求める候補者層へ情報を届けましょう。ただし、単に求人を出すだけではなく、効果的な広告キャンペーンを展開することが重要です。

例えば世界最大級の求人情報サイト「Indeed」では、無料で掲載する方法のほか、「スポンサー求人」という有料プランを用いて、自社広告の表示回数を増やす方法があります。特に急いで採用したい求人や、求める人材からの応募がない場合などは、有料プランを検討してみましょう。有料プランは「クリック課金広告」といって、求人広告がクリックされるごとに料金が発生しますが、広告の効果を最大化するための予算(いくらまで広告費をかけるか)や掲載期間を設定することができます。

広告を掲載するだけでなく、「運用」することも重要です。広告の効果を確認しながら改善を行いましょう。クリック数や応募数などのデータを分析し、広告のターゲティングやメッセージを最適化していきます。この「運用」は、自社内で行うこともできますが、広告運用に強みを持つ代理店に有償で依頼することも選択肢の一つです。

ただし、採用活動を行う際に忘れてはならないのが、労働基準法をしっかりと守ることです。求人広告には正確な労働条件や待遇を記載し、適切な採用プロセスを経て候補者との間での公平な取り組みを心掛けましょう。労働基準法に違反しないように注意し、採用活動を進めていきましょう。

NPO法人中野中小企業診断士会 平賀千晴(ひらがちはる)