-第214回-
小規模事業者における人材採用のコツと定着のポイント(1)
― [具体化がポイント! 求人内容を明確化して求職者を引き付けよう] ―
街中で、「最近、この飲食店、休みが多いなあ」と感じたことはありませんか?
一部では、休業の背景が掲示されていることもありますが、特にその理由は明示されていないこともあります。しかしながら、コロナ禍で離職したスタッフが戻らず、「店を開けられない」「満足な接客が行えない」といった問題が発生しているようです。客足が戻る中でも、少子高齢化による人手不足問題が慢性化しており、この現象は一般消費者にも明確に認識されています。多くの経営者がかねてより危機感を抱いてきた問題が、今ではより顕著になっています。
飲食店に限らず、事業をおこなっている皆様、あるいはこれから起業をお考えの皆様にとって、自社にマッチした人材を採用することは成長と成功に不可欠な要素です。しかし、競争が激化する中で適切な人材を見つけることは容易ではありません。このメルマガでは、成功する人材採用のための秘訣と効果的な戦略を紹介します。
1)ビジョンとカルチャーの明確化
自社にマッチした人材を引き付けるためには、ビジョンとカルチャーを明確に伝えることが重要です。自社の目標や理念、組織の価値観を明確化し、候補者に共感を呼ぶような魅力的なストーリーを伝えましょう。これにより、志を共有する人材を採用しやすくなります。
ビジョンという言葉は、抽象的で掴みどころが難しいと感じるかもしれません。そこで、経営者の皆様がなぜその事業を始めることを考えたのか、事業を通じて社会に何をもたらしたいのかを思い出し、具体的に言語化してみましょう。
なぜその事業を行おうと考えたのか: 事業の背景や動機について明確にしましょう。なぜその分野や業界に進出しようと思ったのか、どんな問題や課題を解決したいと考えたのかを具体的に示しましょう。
事業を通じてもたらしたい価値: 事業が目指すゴールや社会的な影響について言語化してみましょう。事業を通じて社会にどんな価値をもたらしたいのか、顧客や利用者にどんなメリットを提供したいのかを明確にしましょう。
創業の動機を具体的に言語化することで、ビジョンが具体的で実現可能なものとして伝わりやすくなります。社会的な目的や使命を明確にすることで、経営者や従業員のモチベーション向上やブランドイメージの構築にもつながります。
2)求人内容の検討
次に、求人内容を具体化していきましょう。具体的な募集背景や求人理由を明確にすることが重要です。以下は考慮すべきポイントです。
募集背景の具体化: なぜ求人をかける必要があるのか、その背景を明確にしましょう。例えば、退職者の補充や店舗の拡大などが挙げられます。
採用の目的の明確化: 採用することでどのような目的を達成したいのかを明確にしましょう。欠員の補充、オペレーションの円滑化、組織の拡大などが考えられます。
仕事の内容の具体化: 求人広告において、具体的な仕事内容を示すことが重要です。例えば、キッチンでの下ごしらえ、配膳、店舗清掃など、具体的な業務内容を明示しましょう。
職場内でのポジションの説明: チームの人数や構成要素など、職場内でのポジションについても明確に説明しましょう。チームの規模や役割分担などを具体的に示すことで、求職者にイメージしやすくなります。
以上のポイントを考慮しながら、求人内容を具体的かつ魅力的にまとめていきましょう。求職者にとって魅力的な仕事内容や職場環境を伝えることで、適切な人材を採用する可能性を高めることができます。
次回は、求人広告の活用を考えていきましょう。
NPO法人中野中小企業診断士会 平賀千晴(ひらがちはる)