-第198回-
創業への不安を乗り越えて一歩踏み出す(1)
-創業することで、どんな人の役に立ちたいですか-

 創業セミナーや創業相談で、よくある質問です。『こんな創業アイデアを考えてみたんですけど、この事業で創業できますか?』

創業を考えるにあたり、「こんな創業アイデアは、どうかな?」「この商品、もっと便利なことできるんじゃないのかな?」「今まで体調が優れないことが多かったけど、このサービスに出会って人生が変わりました!私も、役に立てることあるかな?」なんて、話をよく耳にします。今、読んでいるあなたも、そんなことを考えたことはありませんか?

 これらの創業アイデアは、実際に創業した子育て中のママや子育てがひと段落した女性のお話です。では、ここから次にどんなことを考えていけばよいのでしょうか。
2つの視点を考えてみる必要があります。

1.「誰のためですか?」
あなたが役に立ちたいと思っている人は、どんな人でしょうか。
どこに住んでいる?年齢はどのくらい?どのくらいお金持っている?どんなライフスタイル?など、どんな人なのかを洗い出してみてください。
また、その人がどんな悩み、不安、不満、問題、希望、要望など、頭の中でどんなことを考えているのでしょうか。具体的に考えてみてください。
誰のために役立つものなのかを明確にすることが大事です。

2.「あなたの商品・サービスを購入後、どのような状態になっていますか?」
 2つ目は、その人がどのような状態になっていたら、あなたはうれしいですか?
悩み、不安、不満、問題が解決したとき、もしくは、希望、要望が叶ったときでしょうか?1で考えた人が、ニッコリ笑っている状況がどんな時であるか、具体的に考えてみてください。
 
 この1で考えたターゲットが、創業アイデアで考えた商品やサービスによって、どんな変化がもたらされるのかが重要です。この変化によってヒトは、価値を感じます。この価値に期待をして、ヒトは商品やサービスを購入します。その効果に期待以上の満足があると、また購入します。そして、そのヒトのクチコミや紹介によって、あなたの商品やサービスが広まっていきます。
これが、新規顧客獲得からリピーターとなり、クチコミや紹介によって、売上につながっていく仕組みです。

ぜひ、創業アイデアを思いついたら、まず、この2つの視点で、人に聞いてみる、アンケート調査してみるなどの情報収集をするところから始めてみてください。

〈創業アイデアから実際に起業した例〉
 Aさんは、会社勤務時代に忙しさから体調不良に悩まされ、眠れない日々が続いていました。施術を受けた鍼灸院で体調が良くなり、ぐっすりと眠ることもできるようになりました。そこでAさんは鍼灸師の資格を取得し、忙しく働く40代の方向けの鍼灸サロンをオープンさせました。

NPO法人中野中小企業診断士会 石井律子
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