-第195回-
定年後のセカンドキャリアを考える
-シニア起業に向けた「副業・兼業」の活用(2)-
後半は、まず企業の副業・兼業制度について、厚生労働省「副業・兼業促進に関するガイドライン」(令和4年7月)を確認したうえで、活用方法を考えます。
〇企業やシニア起業者にとっての「副業・兼業」メリットと留意点
副業・兼業は働く人本人だけでなく、企業や社会にとってもメリットがあると紹介されています。従業員が社内では得られない知識・スキルを獲得でき、社外からの新たな知識・情報が事業機会の拡大につながる。また、オープンイノベーションや起業の手段としても有効で、都市部の人材を地方創生に活かす面もある、とされています。
会社や本人の留意点は、就業時間が長くなる可能性があることや、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務との関連です。就業時間について、会社は事業場を異にする場合でも、労働時間を通算したり、把握したりすることが求められます。起業の場合は労働時間の通算は必要ないので、副業・兼業を可能としつつも、社内(グループ内)兼業や自営での兼業のみに制限している会社もあります。予め自社の就業規則等を確認しましょう。逆にきちんと副業・兼業を定めている場合は、就業時間その他に配慮を受けられる場合がありますので、メリットとなります。また、勤務条件等によっては以前より減額するかもしれませんが、起業の初期にきちんと受け取れる収入があるのは大きなメリットです。
〇地元の支援メニューを活用して、スモールスタートから始めよう
シニア起業に関わる実務は、地元の支援メニューを活用するのがお勧めです。開業準備は事業計画書作成から資金調達、販促、経理その他まで多岐にわたります。これには、中野区の支援メニューや中野商工会議所での相談が役に立ちます。また、起業後も、成長段階ごとの課題が出てきますので、どのような場面でどのような支援が受けられるのか予め知っておくことで、円滑な経営ができます。まずは、副業でのスモールスタートから、ご自身のビジネスを育てていきましょう。
〇新たな価値を見出して、充実したセカンドキャリアを作ろう
今までの勤務先のルールや仕組みを当たり前と考えていると、新たに出会う人たちを受け入れられず、時には摩擦が起きてしまうことがあります。これではせっかく起業しても、ビジネスを成長させることができませんね。こうした問題を解決するため、“気づき”を促す研修の受講や、先輩方の体験談なども有益ですが、やはり準備の領域です。副業・兼業での実践は、定年後のスタートアップの成功につながるヒントを得られる貴重な時間です。上手に利用してみてください。
皆様が、シニア起業で新たな飛躍をされますことを、祈念しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
NPO法人中野中小企業診断士会 阿世賀和子(あせが)
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