-第187回-
Withコロナ時代における人材育成の進め方(2)
- 環境の変化、働き方の変化に対応した人材育成を考える -

前回は、事業環境や働き方が変化している中で、人材育成を体系化する必要性やそのプロセスをお話ししました。今回は、「育成体系に基づいた具体的な育成手法」を軸にお知らせします。人材育成の手法は、仕事の中で学ぶ OJT、仕事を離れて学ぶ研修などのOff-JT、そして自発的に学ぶ自己啓発の3つがあります。それぞれの手法を単独で行うのではなく、育成体系の中で有機的に結び付けることが重要です。
1.Withコロナ時代におけるOJT
OJTには、日々の業務の中で一人ひとりの能力や個性に応じた指導が可能となるメリットがあります。効果的なOJTを実施するには、育成意欲のある指導者、能力に応じてチャレンジできる課題、結果に対する適切なフィードバックが必要となります。Withコロナ時代においては、「背中を見て学べ、仕事を見て盗め」といったOJTは成り立ちません。業務に対する指導を、言語化することが求められます。また、課題の設定、フィードバックを実施する場を計画的に確保しなければなりません。
2.OJTを補完する研修体系
Off-JTの主体は研修であり、育成体系に沿って、年次や役職に応じた階層別研修、専門知識を学ぶ部門別研修、幹部を養成する選抜研修、自由に選べる選択研修などを組み合わせることで研修を体系化します。規模の小さい企業であっても、高齢・障害・求職者雇用支援機構による「生産性向上支援訓練」を活用することで、体系に沿った研修を受講させることができます。「生産性向上支援訓練」は、人材開発支援助成金を利用して、費用の一部について助成を受けることもできます。
3.学習する組織風土の醸成
 自己啓発は自発的に学ぶことですが、学ぶ環境作りには企業の支援が必要であり、経営者が率先して学んだり、勉強会などの場を提供したりすることが求められます。なによりも、経営ビジョンなどの目的を共有し、従業員が組織貢献しようという意欲をもつ組織風土を醸成するために、コミュニケーションを活性化することが重要です。
<経営ビジョン実現に向けて意識を共有しているB社>
B社は、食品用香料を製造し、全国に販売することで、好調な業績を挙げています。ジム・コリンズ著「ビジョナリー・カンパニー弾み車の法則」を参考に、強い会社を築いていくための「弾み車」を策定することで、戦略の体系化を行っています。事業部門ごとに「弾み車」を作成することで、全従業員に浸透させ、組織、個人の成長を目指す組織風土の醸成に繋げています。
Withコロナ時代において、人材育成の重要性は増してきています。人材育成を体系化することで、従業員を成長させるだけでなく、企業の成長を実現していきましょう。

NPO法人中野中小企業診断士会 小林久人