-第160回-
「自分のせい?他人のせい?」成長するための原因の求め方(1)
-正しい振り返りで部下の成長を促す-

<ケース>
 あなたの職場には、若手社員のA君と、B君の2人がいる。
 A君は、自信家で能力も高いが、失敗しても自分は悪くないと主張する傾向がある。先日も、客先から提案書の見直しを要求された際に、「そもそも先方からの情報が曖昧だから悪いんだ」「こちらの提案を受け入れないのは間違っている」と言っていた。
 B君は、A君とは対照的である。堅実に仕事はこなすのだが、何か失敗すると、「自分には適性がないんじゃないか」とクヨクヨ悩むタイプである。
 上司であるあなたとしては、2人にもっと成長して欲しいと希望している。

「この状況では仕方がない」「ついてなかった」と自分以外のせいにしがちな人と、「努力が足りなかった」「スキルが足りなかった」と自分自身のせいにしがちな人がいます。何かで成功したり失敗したりした時に、その原因を何に求めるかを原因帰属と言います。原因帰属のしかたはモチベーションや人間の成長に大きな影響を与えます。

1.原因を自分自身(内的要因)に求める

原因帰属には、内的統制型と外的統制型があります。
内的統制型とは、原因を自分自身(内的要因)に求めるということです。たとえば「自分は能力がないから失敗した」「努力不足だった」「経験が浅いから上手くいかなかった」といった具合です。
外的統制型とは、原因を自分以外の外的要因に求めるということです。たとえば「上司の指示が悪かった」「悪いお客にあたった」「運が悪かった」といった具合です。
原因帰属のあり方とモチベーションとは深い関係があり、適切に原因を帰属させることで挫折に強い人間性を育み、人間としての成長を促すことになります。
まず、一般に外的統制型よりも内的統制型のほうが、勉強でも仕事でもスポーツでも成績が良いことが実証されています。成功すれば自分の能力ややってきたことに対する自信になりますし、失敗したときもその原因を振り返り、自分の至らなかったところを強化するためのアクションを講じることができるからです。
逆に自分がコントロールできない外的な要因のせいにしていては、自分を改善させるための手がかりを得ることはできないでしょう。

2.ただし単に自分のせいにするだけでもダメ

時には愚痴で人のせいにすることは精神衛生上悪いことではありませんが、何でもかんでも人のせいにするとなるとよくないということは読者の方々にも想像がつくと思います。
しかしながら内的統制型であれば絶対的によいかというとそうではありません。何でも自分のせいにしていては、潰れてしまうこともあります。内的統制型でも失敗した時にモチベーションが下がり挫折してしまうタイプと、モチベーションが下がらず挫折しないタイプがいます。

次回は、適切な原因帰属についてさらに細かくお知らせします。

NPO法人中野中小企業診断士会 三枝元