-第115回-
必ず知っておきたい交渉の3パターン
- お互いに得するために重要な事 -

前回触れたように、交渉には「分配型交渉」「利益交換型交渉」「創造的問題解決型交渉」の3つがあります。この中で、最も使う場面が多いと思われるのが、利益交換型交渉です。利益交換型交渉とは、「パイは限られているが、自分が重要でない部分は譲り、その代わり自分にとっては重要だが相手にとっては重要でないものを引き出す」というものです。
今回は、利益交換型交渉のしかたについてご紹介します。

1.あらかじめ協議事項を整理しておく
交渉にあたっては、あらかじめ協議する事項を整理します。協議事項を整理する過程で、「自分が譲れないこと」「譲ってもいいこと」が明らかになります。ちなみに協議事項の整理は、次の3つのステップで進めます。

①協議事項を抽出して分類する
企業間の商取引において、自社にとっての利益は通常1つではありません。価格以外にも、ベネフィット、納期、支払条件、品質保証、その他付帯サービスなど様々です。こうした複数の利益(協議事項になる)を漏れなく抽出してグループごとに整理するということです。
②協議(利益)の優先順位を考える
①に基づいて複数の利益の優先順位を付けます。合わせて「自社にとってはそれほど価値がないが相手にとっては価値があるものはないか」整理しておくと後の交渉で役に立ちます。
③話し合うべき順序を考える
協議は互いの優先順位が高いものから始めるのではありません(そもそも優先順位が違う場合も多いです)。また重要だがすぐには合意できそうにないことからではなく、合意しやすいところから始めるのが望ましいです。合意できそうにない事項から始めると、すぐに議論が紛糾して交渉そのものがデッドロックに乗り上げてしまうからです。
合意しやすい事項から始めると、相手との関係性も構築しやすくなり、さらにその過程で相手のニーズや事情を入手することができます。

2.交渉の3つの利益に着目する
交渉の利益は何も経済的な利益だけとは限らず、3つの利益があるといわれています。

①経済的利益
実質的な利益のことで、価格、納期、品質、支払条件などが該当します。
②過程についての利益
メンツを保ちたい、自己主張したい、尊重されたい、公平に扱ってほしいといった利益のことです。
③関係についての利益
相手と良好な関係を構築したいという利益のことです。

<QUESTION>。
あなたが中小の部品メーカーの営業担当者として、大手メーカーの調達部門から価格要請を迫られているとします。これから交渉に臨むにあたって、どのようなことを考えておくべきでしょうか?

おおよそ次のようなことを考えておくとよいでしょう。
・相手が突然価格要請してくる理由は何だろうか?もしかしたら価格以外で協力できる余地があるかもしれない。
・納期や支払条件で協力すれば、価格面では妥協してもらえる可能性があるだろうか?
・逆に価格面で協力する代わりに、納期や支払条件をよくしてもらえる余地があるだろうか?
・何らかの譲歩をしなければ調達部門の担当者の社内での立場がなくなってしまう。わが社にとっては譲歩しても大したことではないが、相手にとっては重要なことはないだろうか?
・相手にとってわが社は重要な取引先だろうか?もし重要なら相手の要請を丸呑みしなくても、取引を継続できるはずだ。少し強気に出てもよいかもしれない。
・仮に相手が一方的に要求してきても、わが社としてはそれが呑めない理由をデータで示しながら客観的に説明することが大事だな。誠意をつくせば相手も理解してくれるかも知れない。

交渉にあたっては、話題にとなる1つの論点に関心を向けてしなうのではなく、広い意味での相互の利益に着目することが重要です。今後の交渉にあたりぜひ意識してみてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 三枝元