-第113回-
大手企業に負けない、中小企業の採用術
- ここで働けば幸せになることを伝える -
多くの企業にとって採用は仕入れよりも難しいものです。
ある調査によると、就職先を決めた要素は、
1.社会貢献度、2.職場の雰囲気、3.仕事内容、4.将来性、5.福利厚生でした。
前回は、1.、2.、3.について考えてみました。
今回は後半の4.将来性、5.福利厚生です。
4. 将来性
将来性というと、個人の収入と能力の成長と、
会社や事業の成長という2点が考えられます。
社員個人の収入・能力の成長については、
社員のキャリアプランを考えてやる必要があります。
飲食店や小売店では、自分の店を持つということが一つの目標になります。
そこから逆算して、自分で店を開くためにはどんな能力や経験が必要なのか、
仕事を振ってやり、経験を積ませます。
建設業やソフトウェア開発業ではより高スキルの仕事や、
マネジメントに携わらせることにより、収入を上げてやる方法を考えます。
キャリアプランも簡単に分かりやすく作ることがコツです。
あるIT企業では、プロジェクト内、組織内での役割とIT関連の資格、
経験年数を元に、想定年収を計算し、社員に公表しています。
社員のランクは5段階程度の簡易なものです。
この3つの要素でITエンジニアの請求単価は決まってくるので、
給与もそれに応じて払える見込みがあるそうです。
会社の将来性には、皆さん色々な構想をお持ちかと思います。
構想をまとめて、事業計画書としてまとめてみては如何でしょうか。
こちらも分かりやすく簡潔に作ると、
人に見せるときに使い勝手が良いものになります。
事業計画を作るときは、売上の内訳を精査したり、
費用の各項目を検討していくと具体性が増してきます。
5. 福利厚生
福利厚生という言葉は色々な意味があり、捉えどころがありません。
ここでは長く働ける職場と考えてみます。
既婚女性のパートタイム就業や学生アルバイト等では、
個人の収入・能力の成長よりもこちらの方を重視する傾向があります。
長く働くことを前提に考えると、
残業時間の少なさや休暇の取りやすさは考えなければならない項目です。
こうした取り組みを進めるためには、
経営者が率先して、業務改革を進める必要があります。
部下から仕事が大変だから楽にしてほしいとは言いにくいからです。
特定の社員に業務が集中しているのなら、それを解消し、
より多くの人により少ない時間働いてもらう必要があります。
働き方改革や労働環境改善には厚労省からの補助金もあります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
本稿では2回に分けて採用について考えてみました。
イメージが湧いて実行できそうでしょうか。
少し難しいなとお感じの方には、
中野区勤労者サービスセンターでの相談窓口、及び、
皆さんの事業所に伺って経営相談を行う「どこでも出張相談」があります。
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/guide/010/005/index.html
無料ですので是非ご活用ください。
本稿が皆さんの経営の一助になれば幸いです。
NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一