-第61回-
創業時に理想の組織を設計しておきましょう(2)
- 実際に理想の組織を設計してみましょう -
前回は成功する創業者は辛い時にも挫けず、むしろイキイキしている。
その理由として、彼らは「創業前の段階で達成したい未来が描けており、それを組織図という形にしているから」という話をしました。
今回はその具体的手順についてお話します。
例えばあなたが「学習塾」を開業するとします。
多くの創業者が考える事は、「まず最初の1店舗を成功させて、それから次の展開を考えよう」という事です。
具体的には、学習塾の場所を決め、教科書を作成し、チラシやHPを作成して生徒を集めます。
つまり何とか1店舗目を成功させようと懸命に努力をします。
そして「1店舗目が起動に乗った3年後くらいには2店舗目を出して、その際は宣伝も少しお金を掛けてやりたいな」などと考えます。
しかしそのような考えでは苦戦する確率が高いです。
なぜなのでしょうか。
それは1店舗目を成功させる為の「エンジン」が積まれていないからです。
一方で成功する創業者は「創業前の段階から」このように考えます。
まず最初の1店舗を運営する「運営事業部」を創ろう。
その上で、5年間で5店舗まで拡大したいので「新規出店事業部」も創ろう。
その時は当然宣伝も必要になるので「販促事業部」も創ろう。
講師採用やIT関係も重要になるので「システム事業部」も必要だな。
そして創業前の段階で上記事業部を含んだ組織図を作成してしまいます。
当然ながら、創業段階ではメンバーは創業者1名だけですので、
全事業部の担当名には自分の名前が書かれています。
一見すると「まだ1店舗目すら出していないのに妄想しすぎでは」と思いたくなります。
実はこれが非常に大切なのです。
前回にも書きましたが、創業すると想像以上に余裕が無くなります。
日々やるべき事が増え、「何のために創業したのか」すら忘れてしまうこともあります。
その時に道しるべになるのが、創業前に作成したこの組織図なのです。
組織図が存在することで、日々の仕事に追われながらも「そうか、自分はこれを実現させる為に頑張っているんだ」「新規事業部のメンバーに相応しい人材はいないだろうか」「良い仕組を見つけた。いつかこの仕組をシステム事業部で導入しよう」など、未来思考の発想で経営が可能になります。
創業者に最も必要な事はなんでしょうか。
それは「諦めないこと」です。
その為には「諦めない理由」を強く持っておくことが重要になります。
自身がイキイキとする未来を反映させた組織図は「諦めない理由」となります。
私が相談者に対して、創業前の段階から5年後の組織図を作成するように強くオススメするのはこのような理由からです。
多くの相談者が創業後に「創業前の自分に教えられているようです」との感想を言われます。
何より私自身、創業2年目であり、社員数は3名に過ぎませんが、5年後の組織図に従って日々の意志決定を行っています。
是非、創業前の段階から組織図を作成してみて下さい。
きっとワクワクして自分自身にエンジンが積まれる事を実感できると思います。
NPO法人中野中小企業診断士会 志倉康之