-第193回-
ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とは(2)
-どのように活用するのか-
前回は、賃金上昇や人手不足に対応するための生産性向上としてBPOという手段があることをご説明いたしました。また、合わせてBPOにはどのようなメリットがあるのかをお伝えいたしました。
今回は、BPOによるデメリットにも着目してみましょう。
BPOによるデメリットの中で最も大きいのは、ノウハウが社内に残らないということです。専門性の高い業務をBPOした場合、運用のレベルは上がりますが、自社にはそのノウハウが蓄積されません。また、社内の人事異動などによりBPOの内容が分からない状態になることもあります。これは、引継の際に「あの会社にお願いしておけば大丈夫だから」と満足な引き継ぎを行わなかったときに起こりうるケースです。また、BPOには情報漏えいのリスクも懸念しなければなりません。BPOにはこのようなデメリットがありますが、いずれも社内でしっかりと対策しておけば大きな問題になることはありません。
(BPOが活用される事例)
BPOが活用できる業務は、基本的に企業の中のコア業務以外の業務です。実際にBPO導入が行われている事例について解説します。BPO導入を検討する際の参考にしていただければと思います。
バックオフィス業務
バックオフィス業務は、BPOの委託業務の中で非常に多い業務です。バックオフィス業務には、「人事」「経理」「コールセンター」などの管理系部門があります。
一般のアウトソーシングや人材派遣企業にバックオフィス業務を委託する場合、サービス内容は業務代行のみであることがほとんどです。一方、BPOの場合は業務代行にとどまらず、プロセスの見直しやより効率的な業務システムの開発など、課題解決や抜本的な業績改善のサポートまで行われることが多いです。
システム開発業務
ECサイトの立ち上げや自社に新規システムを導入したい場合には、システム開発企業にBPO導入を依頼することが可能です。近年は働き方改革やコロナ渦の影響で、多くの企業がテレワークやリモートワークといった新しい業務システムの構築に迫られています。システム開発におけるBPOの需要の高まりを受け、BPOサービスを開始するシステム開発企業が増加しています。
コンサルタント業務
BPOでは、単純に業務を委託するだけでなく、委託した業務の継続的な改善や付加価値の提案といった、コンサルタント業務を依頼することもできます。たとえばコールセンターにBPOを導入した場合、コールセンターでの業務代行だけでなく、運営まで一括して委託することが可能です。
このとき、BPOでは経営戦略に役立つコールセンター運営が可能です。たとえば顧客とのコミュニケーションを通じて商品やサービスのフィードバックを行い、クライアントの売り上げ増大につなげるコンサルティングを期待することができます
上記だけではなく、様々なBPOがありますので、人手不足にお悩みの企業は、BPOに委託することも選択肢としてもよろしいのではないでしょうか?直近話題となっているChatGPTなど今後ますます中小企業の生産性向上を可能にするサービスなどが増加していくものと考えられます。
NPO法人中野中小企業診断士会 堀川 一