-第23回-
 資金管理の重要ポイント(2)
~入金・支払の期日を交渉しましょう~

 資金管理の後編は、簡単に資金を把握する方法をお伝えします。
 社長とお話していると、税理士に任せているからと言われるケースがありますが、税理士が資金の管理についてアドバイスくれることはほとんどありません。また、経理を採用しなければできないと思っているなど、大げさに考えているケースもありますが、そこは人任せにせずに簡単に資金を把握できる以下の方法を利用して見て下さい。

①前月末の資金を把握します。
②次に支払予定がいくらある。
 前月末の資金 - 支払予定の仕入 - 給与 - 支払予定の経費 = 資金残高
③そこに当月に入金予定の金額をたせば =当月末の残高

 これを、エクセルシートで簡単に表にしておけば、すぐに把握できます。
これを1年間の表にすれば、年間の資金を簡単に把握できます。
 ここまで出来ましたら、次に是非やっていただきたいのが、この表をもとに資金の残高を増やすことを考えます。
 
①売上回収を1日でも早くできないか
②仕入先の支払を1日でも遅くできないか
③経費の支払を遅くできないか

「そんなこと言われなくてもやっている」とよく言われます。しかし、実際には交渉したのは、「取引が始まる時だけ」だったり、「自社や相手の環境が大きく変わっていたり」と当時と大きく変わっているケースが大半です。
具体的には、売上回収を早めるには、業種にもよりますが、「前金」「現金引換」「当月中」「翌月5日」など、少しでも早い現金化を交渉しましょう。全部の会社は無理ですが、数社は変更することが可能なケースが多いです。
また、仕入先や経費の支払先には、「翌月末」「翌々月」など自社の支払サイトの変更を理由に、交渉してみましょう。意外に、受入れてくれる会社があります。

 大切なのは、自社の経営状態、特に資金の状態を把握することで、前向きな経営を行うことです。常にお金のことで社長の頭がいっぱいだと、新しいアイデアは生まれません。ぜひ、資金管理を行い、会社を成長させて下さい。

NPO法人中野中小企業診断士会 小泉悟志