-第83回-
トヨタ式問題解決による人材育成第(1)
‐トヨタ式問題解決とは‐
私は、企業で人材育成に長く携わってきました。様々な研修に取り組んできましたが、トヨタ式問題解決方法を利用したアクションラーニングはとても良い方法で、効果を生むと実感しております。
今回は、トヨタ式問題解決の概要について説明したいと思います。
トヨタのマネジメント体系は、「方針管理」、「日常管理」、「職場風土づくり」、「問題解決」の構成となっています。「問題解決」がマネジメント体系の基礎となっています。
トヨタ式問題解決は8ステップから構成されています。
ステップ1 問題明確化(問題を明確にする。)
ステップ2 現状把握(問題を層別し、問題を特定する)
ステップ3 目標設定(目標を設定する)
ステップ4 要因解析(真因=真の原因を特定する)
ステップ5 対策立案(真因に対する対策を立案する)
ステップ6 対策実施(実行計画もとづいて対策を実行する
ステップ7 効果の確認・評価(結果を取り組み過程を評価する)
ステップ8 標準化(成功のしくみを定着させ、横展開する)
いわゆるPDCA(Plan Do Check Action)を8段階に分解したものです。Pがステップ1~5、Dがステップ6、Cがステップ7、Aがステップ8です。Pを5段階に分解しているのが、トヨタ式の「問題解決のカタ」です。
ただしステップ1でも「問題」は「あるべき姿」と「現状」とのギャップと定義する、必ず数値で問題をとらえる、実行期間を設定するなど、注意すべき点はあります。
トヨタ式問題解決は8ステップですが、会社によって「問題解決のカタ」が、4ステップであったり、6ステップであったりと、さまざまな「カタ」があります。要は自社にあった「問題解決のカタ」を作ることが重要なのです。
著書も多数出版されていますので、そちらも参考にしてください。次回はアクションラーニングとの融合について説明します。
NPO法人中野中小企業診断士会 田中浩二