-第112回-
大手企業に負けない、中小企業の採用術
- 中小企業ならでは手作り感でやりがいを伝える -

最近、人手不足といわれ、採用が難しくなっています。
そこで本稿では、2回に分けて、人材採用について考えてみます。
今回は前半です。

まず、世の中の人が就職を決める要因を調べてみます。
ある調査によると、就職先を決めた要素は、
1.社会貢献度、2.職場の雰囲気、3.仕事内容、4.将来性、5.福利厚生でした。
一つ一つ考えてみましょう。

1. 社会貢献度

突然ですが、御社の社会貢献度は高いでしょうか。
色々考え方はあるでしょうが、事業というのは顧客の感謝をお金でもらうという側面があります。
役所の仕事はちょっと違うかもしれませんが、民間企業であれば顧客が感じた価値が売上になります。
(感謝していないのにお金をもらってしまったら詐欺ですよね)
そう考えると、社会貢献をしていない企業はありません。
これを採用候補者にどう伝えるかが課題です。

一つに自分が創業した時の志を伝える方法があります。
飲食店であればどんなお店にしていきたいのか、小売店であればどんな商品を扱っていきたいのか、何をしたくて創業したのか、皆さんの思いを採用候補者に伝えてみてください。
伝え方のコツは、成るべく短く、ストーリを伴って話すことです。

私の知り合いの経営者は、

(1) 前職では、ブラックで理不尽がまかり通ることが多かったので、 自分で会社をつくった。
(2) 当社は顧客に対しても言うべきことを言い、社内は勿論、 誰に対しても正直に接して、自分の子供たちにも勧められる会社にしたい

という話をしています。
社員2名の小さい会社ですが、最近1名採用できました。

2. 職場の雰囲気

職場の雰囲気を改善するのであれば、その方法は色々あります。
挨拶をしっかりするとか、飲み会を開催し意思疎通を活性化する等、調べればすぐに様々な方法が見つかります。

ここでは一例として「ありがとうカード」をご紹介します。
「ありがとうカード」は、社内で感謝の気持ちを感じた社員が、その気持ちをもたらした社員に対して送るカードです。
ある社長は「ありがとうカード」をたくさん出せる社員になってほしいという思いがあり、1ヶ月に1回表彰をしています。
社員は他の社員への感謝を常に意識することになりますので、職場の雰囲気改善に効果があります。

その会社では男性社員が大多数でしたが、この活動を始めてから女性が増えてきました。

3. 仕事内容

魅力的な仕事内容を用意するというのは現実的ではないと思いますので、ここは省略します。
必要としている仕事内容にあった人を探した方が近道です。

今回は事業の社会貢献度と職場の雰囲気についてでした。
次回は、将来性と福利厚生について考えてみます。

NPO法人中野中小企業診断士会 杉野洋一