-第86回-
超売り手市場での人材採用(2)
‐採用活動に当たってのポイント‐

前回の意識調査の結果を参考に、採用活動に当たってのポイントを考えてみたいと思います。

楽しく働きたいというニーズには、まず社内の明るい雰囲気つくりが大切です。まず、挨拶、朝礼・昼礼・終礼、声がけなど普段からの何気ないコミュニケーションつくりが基本です。また、ライン、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSなどを利用して、経営者と社員のコミュニケーションを活性化させることで、雰囲気を良くするもの良い手法です。お金をかけずに工夫次第でいろいろな取り組みができ、良い効果を生みます。

また、就職希望者はワークライフバランスを重視する傾向が強くなっています。企業にとっては、残業削減が必須となりますが、急に対応できるものではありません。普段から残業削減のために、業務の見直し、2Sなどの改善に日ごろから地道に取り組むことが必要です。

次に、こうした取り組みで生まれた成果の情報発信の方法について説明します。

採用媒体ですが、自社のホームページ、ハローワーク、就職ポータルサイト、社員紹介による口コミなどさまざまな手法があります。コストや情報の精度などそれぞれのメリット、デメリットを理解して、使い分けて利用するのが良いと思います。

実際の採用説明、面接では、採用担当者がその企業のイメージそのものとなります。採用担当者が採用を左右するといっても過言ではありません。採用担当者が経営者であれば、語られる言葉は企業理念そのものですから、とても魅力的なものになるでしょう。経営者以外の担当者が採用する場合には、魅力的な言葉を語ることができる人材に担当させるべきです。

発信する情報としては、報酬、労働条件(勤務時間数、休暇数など)、福利厚生、教育研修、人事制度、人員構成、社風など、さまざまな情報があります。すべての情報を開示する必要はないとしても、事実は正確に伝えて、ミスマッチを防止することが重要です。採用される側が企業への信頼度を高める効果もあり、採用につながります。

従来、ハローワークへの求人だけで採用活動していた物流企業が、就職ポータルサイトを利用して集めた若手求職者に対して、若手社員による説明会を実施して、若手の生の声を伝えるなどしたところ、大幅に採用者を増やすことができた事例もあります。

人材採用についてはこれからも厳しい状況はこれからも続きます。ご説明したポイントを参考に、是非、人材採用を成功させてください。

NPO法人中野中小企業診断士会 田中浩二